出版社内容情報
歴史観の変遷を踏まえ独自の歴史哲学を構想
歴史とは何か。ヘロドトスの時代から、キリスト教思想による革命的変化、さらにはデカルト、カント、ヘーゲル、ディルタイ、クローチェ、トインビ ー等に至る各時代の歴史観の変遷をふまえながら、それらの誤謬は鋭く批判しつつ、独自の歴史哲学を構想する。
「歴史哲学に重大な貢献 をした20世紀唯一のイギリスの思想家」と賞されたコリングウッドの主著。
ヘロドトスから、デカルト、ヘーゲル、クローチェ、トインビーらに至る歴史観の変遷を踏まえながら、独自の歴史哲学を構想する。<初版1970年>
★山内昌之さん(東京大学教授)「私のおすすめ」(「i feel」出版部50周年記念号より)★
「 専門との関係で懐かしい一冊といえば、やはりロビン・コリングウッドの『歴史の観念』ということになるだろう。もともと、この原著は大学に入った私が最初に読んだ英語の書物の一つでもあった。歴史を専門に選んだときに、成瀬治教授の史学概論のレポートを書くためにコリングウッドを読んだのである。わざわざ札幌丸善に注文を出して手に入れたこともよくおぼえている。もちろん全部は読めなかった。堀米庸三編『現代歴史学入門』(有斐閣)のなかで、おそらく堀越孝一氏が紹介していたのではないかと思う。堀越氏は『教養としての歴史学』(講談社現代新書)のなかでもコリングウッドの言説にこだわりを見せており、私も『歴史の作法』(文春新書)を書くときにコリングウッドの訳本の世話になった。紀伊國屋の訳本は西洋史を専門とする学生にとって格好の史学概論入門書となったはずである。今でもたやすく入手できることは嬉しいかぎりだ。」
内容説明
歴史哲学に関する20世紀イギリス最高の成果と世評高い本書は、コリングウッドが歴史の本質を極めるべく、後年の学究生活のすべてを傾けた哲学的思策の結実である。本書第一部から第四部では、ヘロドトスから現代に至る歴史の観念の展開過程が追求される。ギリシャ・ローマ時代からキリスト教思想による革命的変化、ついでデカルト、カント、ヘーゲルから、ディルタイ、クローチェ、トインビー等に至る歴史観の変遷に論及し、同時に歴史と自然、歴史と科学の相違を論じて実体論の誤謬をつき、実証主義的歴史観を独自の視角から鋭く批判する。こうした過去の遺産をふまえ、第五部結論では、歴史と自由、歴史的思考が生む進歩など、著者の歴史哲学が本書の約半分を費して論じられる。深い洞察力と該博な知識、天賦の俊敏な批判力と強靭な構成的知力に貫かれて展開されるユニークな歴史哲学の構想は、哲学者・歴史家の間に近年ますますその影響力の深さが自覚されつつある。
目次
序論
第1部 ギリシャ・ローマ修史
第2部 キリスト教の影響
第3部 科学的歴史の出発
第4部 科学的歴史
第5部 結論
著者等紹介
コリングウッド,R.G.[コリングウッド,R.G.][Collingwood,R.G.]
1889年生まれ。4歳でラテン語、6歳でギリシャ語を学んだ早熟の俊才で、1902年に名門ラグビー校へ入学。ついでオックスフォード大学に学び、1935年から41年にかけて同大哲学教授。1943年逝去。その死は、『ニューヨーク・タイムズ』紙や『ネイチャー』誌で深く追悼された
小松茂夫[コマツシゲオ]
1921年、京城に生まれる。東京大学哲学科卒業。同大学大学院修了。長らく学習院大学教授を務める。1980年逝去
三浦修[ミウラオサム]
1925年、東京に生まれる。早稲田大学大学院文学研究科修了。現在、早稲田大学名誉教授。専攻はスコットランド文学
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