内容説明
主著『真理と方法』の刊行以来、ガダマーの哲学的解釈学は、社会科学、文学芸術批評、神学、法律学など幅広い分野で議論の的となってきた。本書は、ハーバーマス、ハーシュ、ローティといった思想家たちが、いかにガダマーを批判しあるいは受容してきたかということに格別の関心を払いながら、ガダマーをめぐる一連の議論を再構成することで、その思想の可能性と限界を浮き彫りにしていく。“対話”を重視するガダマー解釈学の醍醐味が伝わる、格好の手引書。
目次
第1章 解釈学と歴史(ロマン主義解釈学批判;現象学的転回)
第2章 解釈学と著者の意図(ハーシュの意図中心主義;ゲーム遊びの構造 ほか)
第3章 解釈学と主観主義の問題(先入観と伝統の復権;完全性の予期 ほか)
第4章 解釈学とイデオロギー批判(ハーバーマスの『真理と方法』への書評;アーペルの解釈学批判 ほか)
第5章 解釈学と「新プラグマティズム」(ローティによる学問の新しい統合;ローティの認識論批判 ほか)
第6章 結論(理解の対話的性格;解釈学的経験 ほか)
著者等紹介
ウォーンキー,ジョージア[Warnke,Georgia]
ボストン大学で博士号を取得したのち、イェール大学助教授を経て、現在、カリフォルニア大学リヴァーサイド校哲学部教授。解釈の正当性問題からロールズなどの政治哲学、フェミニズム関係、具体的な社会問題まで幅広く論じる。実践哲学志向の解釈学者。著書としては本書のほかに、「Justice and Interpretation」(1993年)「Legitimate Difference: Interpretation in the Abortion Controversy and Other Public Debates」(’99年)がある
佐々木一也[ササキカズヤ]
1954年長野市生まれ。東京大学文学部卒。東京大学大学院人文科学研究科哲学専門博士課程単位取得退学。現在、立教大学文学部教育学科教授。専門は哲学。特にハイデガーを中心とする現代ドイツの実存哲学系の思想を基盤にしつつ、解釈学の方法を取り入れて、存在論を追究している。最近は、西田幾多郎をはじめとする日本近代哲学の研究にも取り組んでいる。その一方で、学問の社会的役割の重要さに鑑み、社会的教育制度としての大学を日本的に意味づける仕事にも着手している。共著に「現象学と解釈学(下)」「大学力を創る:FDハンドブック」などがある
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