出版社内容情報
DNAが人間の行動を支配し,その人の未来まで決定しているかのような言説が,大衆文化の中で一人歩きしている。利己的遺伝子,快楽遺伝子,暴力遺伝子,名声遺伝子,ゲイ遺伝子,カウチポテト遺伝子,天才遺伝子,貯蓄遺伝子……小説や漫画,テレビ番組や広告,雑誌や育児書にいたるまで頻繁に登場する「DNA伝説」を検証する。
内容説明
DNAが日常語として普通に使われるにつれ、あたかも魔術的パワーをもって人間の行動を支配し、その人の未来まで決定しているかのような言説が、大衆文化の中で一人歩きしている。遺伝子を持ち出せば、なんでも説明できるかのような風潮がはびこっている。本書は、アメリカ大衆文化のなかで登場する、さまざまな「DNA伝説」を取り上げ、それが社会のなかでいかなるひずみやゆがみをもたらしているかを広範な資料調査で整理・検証した結果をまとめたものである。日本の現状も比較的似た状況にあり、参考になる点、反省する点が多い。
目次
第1章 遺伝子の力
第2章 優生学的遺伝子
第3章 聖なるDNA
第4章 分子家族
第5章 プレスリーのDNA
第6章 生まれつきの差異を創る
第7章 赦罪―責任と罪の所在
第8章 遺伝子本質主義の適用
第9章 遺伝子未来主義
第10章 超遺伝子