出版社内容情報
日本ではグリム童話の「赤ずきん」が有名だが,実際にはグリム兄弟に先立つぺロー版をはじめ,ヨーロッパのみならずアジアにおいても「赤ずきん」は語られていた。その語り口や話の筋は変遷を経ており,そこには多くの謎が秘められていた。本書では多様な「赤ずきん」像を紹介,この著名な童話の裏にあるものを探る。訳を一部改訂し新版を刊行。
内容説明
赤い色のずきん、またはケープを身にまとい、祖母のところへ食べ物と飲物を入れた籠を持ってお見舞いに行く小さな女の子の話―「赤ずきん」は「シンデレラ」や「白雪姫」と並び、日本でもよく知られている外国の民話だ。なかでも有名なのはグリム童話の「赤ずきん」だが、実際にはグリム兄弟に先立つペロー版をはじめ、ヨーロッパのみならずアジアにまで多くの異話が分布している。その語り口や話の筋も、さまざまな変遷を経ており、多くの謎が秘められている。本書ではこうしたさまざまな「赤ずきん」像を紹介、実証科学的に考察するとともに、「赤ずきん」の解釈をめぐる多様なアプローチの12篇を収録した。
目次
赤ずきんちゃん
小さな赤帽子
おばあさんの話
虎姑婆
「赤ずきん」は神話か?
赤ずきん―小さな五月祭の女王
赤ずきんは自由の帽子をかぶっているのであろうか―ティークとグリムの場合に想定されている意味合いについて
男性による創造、投影としての「赤ずきん」
「児童期」観と子供の民話―テストケースとしての「赤ずきん」
昔話と夢―「赤ずきん」の話をめぐって
赤ずきんと思春期の少女
「赤ずきん」の精神分析学的な解釈