出版社内容情報
強制収容所の日曜日。それは苛酷な労働の中で束の間許された,哲学と文学を語り合う恩寵の時間だった。厳しい社会状況の中でつねに戦い,作家・政治家として活躍してきた?スペインのアンドレ・マルロー?による回想録。著者は自らに問い続ける「文学の不思議な力はどこまで生に及ぶのか」。フランス,リーニュ誌の「94年度最良の書」に選ばれた他フェミナ賞を受賞。
内容説明
ブーヘンヴァルト収容所の日曜日―それは恩寵ともいうべき、特別な日だった。日曜日だけは、午後の点呼が終わったあと仲間たちと文学や哲学を語り、詩を朗誦することができ、ブーヘンヴァルトの雪も美しく見えた。著者のセンプルンは、スペインの元文化大臣。パリに亡命していた十七歳のとき、ナチスドイツへのレジスタンスに参加。十九歳だった一九四三年にゲシュタポに捕えられ、ワイマール近郊のブーヘンヴァルト収容所に二年間拘禁された。同収容所には、ロシア兵はじめ外国人や政治犯が多く収容されていた。そこでの「死の記憶との闘い」から生まれたのが、本書である。フェミナ・ヴァカレスコ賞受賞。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まっさん
0
限界状況でにおいても詩を吟じ思想を語る… それはやすらかな日々においてもそうあらねばできないこと。2015/05/27
Arte
0
スペイン内戦でフランスに亡命し、レジスタンスに参加していた著者は、捕まってブーヘンヴァルトに送られ、そこでも蜂起に参加して開放される。レジスタンス活動や、収容所内での看取り、解放直後の暮らしなど、思い出話があちこち飛びながら語られ、それなりに読みやすいが、哲学や文学の話、多くの人名も出てきて、そちらはさっぱり分からなかった。ブーヘンヴァルトでアウシュヴィッツのゾンダーコマンドの生き残りの証言会が行われていたとか、収容されていたソ連人が、2022/12/24