出版社内容情報
現代フランスのフェミニズムをリードするシクスーの最新論文集。今世紀を代表する女性詩人・ツヴェターエワや南米の異才リスペクトール,デリダらのテクストを題材に「性的差異」や「愛」について論じる。著者自身が選んだ三篇に加え,ポスト構造主義の雄・デリダによるシクスー論,シクスーによるデリダ論を収録,シクスー独自の差異論を立体的に浮びあがらせる。
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私たちは 愛している人を
恐れています。
言い換えれば、 私たちは
愛している人を
狼と呼ぶ のです。 エレーヌ・シクスー
エレーヌが書くものは、
私にとっては
夢 を読むことです。 ジャック・デリダ
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いやしの本棚
12
「愛」と「性的差異」という、わたしから遠く逃げ去るテーマを、何とか追いかけてゆく読書だった。「狼(へ)の愛」は、詩的で官能的な表現に富んでいて、意味をはっきり捉えきれないままに面白く読んだ。その意味を捉えられないまま夢中になるのが「愛」なのかもしれないけど。2018/01/18
nranjen
2
返却期限間近で急いで読んだ。訳した人はすごいと思う。デリダとの公の場での対話も含まれているこのテキストは、シクスーの中でも性差、差に限りなく近い場所で語ろうとしているのが感じられた気がする。そもそも性差について話すことは「快楽の、言葉にならない音楽に関することを語ろうとすること」(な感じの文だったと思う)なかなか言い当てている気がする。女性としての言葉、娘の母としては語られていないこと、デリダに関しても女性哲学者が扱われていない(対話がなされていない)ことに触れられている点も鋭い指摘だと思った。2019/05/07