出版社内容情報
明治末から昭和初期にかけて,登場したばかりの女性雑誌を舞台に,オトメたちがつくりあげてきた不思議な共同体とは? 独自の文体を駆使した投稿文や当時の雑誌記事,広告,写真をもとに〈少女たちのワンダーランド〉の秘密をときあかす。女性にとっての近代の意味,ひいては「近代におけるオトメのディスクール」を,今,問いなおす。図版・資料も多数掲載。
★上野千鶴子さん(東京大学教授)「私のおすすめ」(「i feel」出版部50周年記念号より)★
「 川村邦光さんの「オトメ三部作」が完結した。この人の専門はいったい何だろうか? 最初は女性史家かと思っていたが、民俗学者として出発したというし、最近では戦死者の研究をやっている。それにしても達者な人だ。
『オトメの祈り』が刊行されたとき、戦前の女性誌の読者のお便り欄に目をつけるという着眼点のよさに一驚した。そして、やられた、と思った。「男のくせに」という差別発言まで出そうになった。メディアのオモテに出にくい女性大衆の声を拾い、読者研究をやってのけたのは、女性誌ジャーナリズム研究の中でも先駆的であり、カルチュラル・スタディズの受容論を先取りしていた。しかもどの著作も、抑圧的でも解放的でもある「女の近代」へと女性自らが共犯的に関与していく能動性が描かれている点で、ポスト構造主義のエイジェンシー論と響き合ってもいた。巻末の文献リストを見ると、女性誌関係の文献がえんえんと並んでいるが、この人をこれだけ女性誌に耽溺させたエネルギーは何だろう? 大塚英志がM君をさして「少女になりたかった男」と呼んだが、この人もそうとうにオタクだったのだろうか?」
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「女性にとっての近代」を問い直す 川村邦光の本
はじめに 乙女の祈り
君知るや乙女の祈りを
”乙女”のお便りと乙女像
1 オトメの世紀
オトメの読書時代
「女学世界」創刊 / 女性雑誌の評価 / 読書する女の出現
女たちの声
告白へ / 叫びとささやき
2 オトメの語り
オトメたちのお便り
読者コーナー / 「誌友倶楽部」につどう
オトメのメッセージ
連帯の呼びかけ / 御交わり / オトメのハート / オトメのライフ
オトメのロマンス / 浮遊することば / なつかしい過去 / 異郷の地にて
ふるさとの山 / 望郷の念 / 大連、「満州」にて / 朝鮮にて
日本的オリエンタリズム / 御なつかしい皆様方 / 淋しさの構造 / 田舎と都会
オトメ共同体
ことばの共同性 / 主体としてのオトメ / オトメの本性
3 オトメの神々
<オトメ共同体>の守護神
行儀見習して、何になるでしょう / 記念写真:永遠の今の結晶 / いとしい楽器
文字に接しないでは、居られません
4 〈ブルジョア家庭〉への熱い眼ざし
ブルジョア家庭の誕生
令嬢の化粧品・美容品 / オトメの”品位”
ブルジョア家庭の肖像
ブルジョア家庭への飛躍 / 究極のブルジョア家庭 / 梨本宮伊都子の暮らし振り
オトメと良妻賢母
オトメ的良妻賢母 / 保守と改造
5 オトメの“愛の家庭”
主婦物語の誕生
”愛の巣”としての家庭 / ある家庭婦人論 / 主婦の日記
主婦の日課 / 家庭の内と外
”愛の家庭”を求めて
愛すべき第二のもののために / 再びかえらぬ若き日
悲しみと家庭の幸福
モティーフとしての悲しみ / 若さと夫の歓心
おわりに “桜の園”にて
心の小座敷
火の分裂 / 読書する女
女学校通信
オトメの日々 / エデンの園 / 淋しい巡礼 / 桜の園 クローバの園
内容説明
近代化の荒波のなか、可憐に花ひらく少女たちのワンダーランド。女性雑誌を通して、オトメたちがつくりあげた、不思議な共同体とは?
目次
はじめに 乙女の祈り
1 オトメの世紀
2 オトメの語り
3 オトメの神々
4 〈ブルジョア家庭〉への熱い眼ざし
5 オトメの“愛の家庭”
おわりに “桜の園”にて
感想・レビュー
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双海(ふたみ)
まさきち
take0
nash
POWER