出版社内容情報
人間の文明が追い求めつづけてきた「ユートピア」とは,実は,囲いこまれ画一化された,清潔だが退屈な世界であった。そして,管理と制御の行き届いた高度テクノロジー社会こそ――つまりは現代の日本こそ,最も「ユートピア」的な場所ではないのか。そんなとき,人間は旅に出るしかない――反ユートピア的世界のなかへ。鋭い洞察と豊富な話題にみちたエッセイ集。
内容説明
ユートピアのはらむあらゆる問題をとりあげ、みずからも時空の「旅」を楽しみながら、現代日本の状況を鋭くえぐる。1990年代のために編まれた、壮大な現実批判の書にして、まさしく「反ユートピア」的なエッセー集。
目次
輝く都市・虚無の都市―ユートピア考
匂いのユートピア
サドとフーリエ
反ユートピアの旅―インドからブラジルまで
ベルリン・天使の豚
日本ユートピア三景
庭園について―渋沢龍彦の旅
あるイタリア紀行
書斎のユートピア
自動人形の物語
聖シモンとその自動人形
ナルシスの老後―ピエール・モリニエ
反ユートピア的肉体―ジョイス・マンスール
不可思議世界への「序文」―アンドレ・ブルトン
架空の地図をめぐって―ルネ・ドーマル
魔法の文字の旅
アレゴリー・メモ
暗号としての世界