出版社内容情報
今世紀を代表する脳生理学者が心理学者と協力して,「脳と心」の科学の最新の成果をもとに,記憶,自我意識や霊魂といった心の本質に鋭く切りこみ,その到達点を平易に説く。「脳と心」の根本問題をめぐる到達点から,現代社会をおおう様々な哲学的,宗教的,イデオロギー的迷信を徹底的に批判して,人間の本質をめぐる新しい地平を提案する。
内容説明
20世紀は「科学の世紀」といわれる。その一方で、私たちの「心」の空洞化が進行している。本書は、現代社会に蔓延しているさまざまな「科学的迷信」を取り上げる。いわく、人間は考える機械である、心は脳の働きで説明できる、遺伝的・環境的な要因で人間は決まる、云々。ノーベル賞受賞者で、今世紀を代表する脳生理学者と著名な心理学者の共著で贈る、脳と心、人間の本質をめぐる深い洞察の結晶。自我意識、思考、記憶、創造性、そして「魂」といった人間精神の根幹に鋭く迫る。
目次
1 現代の迷信
2 生命、心そして人間の起源
3 心は脳によって物質世界に連絡する
4 唯物論とうそつきのパラドックス
5 倫理と進化論
6 社会の中の人間
7 環境決定論
8 二元論的相互作用説から見た言語と思考
9 記憶―その脳内機構と心の役割
10 人間の知能と人工知能
11 随意運動―意志の自由と道徳的責任
12 人間の冒険―希望と死