出版社内容情報
「2006年書物復権」にて復刊しました。
神話は,人生の決定的な状況の無意識的表現である。意識によって把握できない人類の真の経験を,その表現の中に読みとらせてくれる。よく知られた『アモールとプシケー』の話を題材に,無意識の世界からこころの解放として女性の心理的発達過程を分析し,現代における女性の生き方を追究する。「愛とこころ」について考え悩む多くの人々のための珠玉の一篇。
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■本書について
現代の女性にとって(従って男性にとって)「いかに生きるか」という問題は
極めて主要なことと思われる。
本書は、心理療法家E・ノイマンが、日々の臨床経験を通じて、
この女性の自己実現の問題を、現代の重要な課題としてとらえ、
長い探求の果に、ひとつの解答として提出したものである。
「神話は常に、人生における決定的な状況の無意識的な表現である。
神話が、われわれにとってなぜそんなに大切なのであろうか。
それは、ひとつには、意識によって把握できない人類の真の経験を、
これらの表現のなかに読みとるようにさせてくれるからである。」
という著者のノイマンは、ギリシャ神話「アモールとプシケー」を題材にとり、
元型的な神話の世界からの個人解放、こころの解放として、
女性の心理的発展過程を分析する。
その手法、解釈の見事さもさることながら、本書は文字通り、
「愛とこころ」についての書として、人間の「愛」について、
「こころ」について考え、悩んでいる人々に対して、多くの示唆を与えてくれるだろう。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roughfractus02
7
ユングのアニマ=女性性/アニムス=男性性概念を、無意識(女性性)の意識(男性性)の生成と捉えた著者は、本書でこの過程を「アモールとプシュケー」の神話に読む。2つの過ちが物語をシフトさせる。アモール(エロース)は間違って愛の矢を自らの指に刺し人間女性プシュケーに恋し、見てはならぬアモールの姿を見たプシュケーは去り行くアモールを探す旅に出る。女性達の嫉妬(他動的感情)に満ちた無意識から男性性を介した女性の自立と女性性の再発見というこの物語は、プシュケー(心)の学=psychology自身の物語としても読める。2021/09/20
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