内容説明
古書の甘美な魅力と、蒐集という名の地獄の奥底には、いったい何があるのか?古本を求め、さすらう筆者の愛と狂気を綴った痛快実録エッセイ!ここだけの古書の見つけ方、最新古書店実用情報、史上最強のオススメ異色・奇想小説ガイドも収録。
目次
古本日記―晴探雨読日々是楽園
第1部 ボクの修行時代
第2部 揃える愉快
第3部 ホコリ高き楽園
第4部 ブックハンティングの旅
第5部 紙魚の偏愛
古本日記―世紀末百貨店古書即売会七転八倒之図
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ホークス
34
読メで知った一冊。著者は私より2歳上の読書家で本のコレクター。SF中心にジャンルは幅広く洋書も読む。コレクターといっても偏屈ではなく、探検家的で親しみやすい。とはいえ自宅の書庫に居るのが何より楽しいと言う所はいかにも蒐集家で、バラエティに富んだ古書の話が本書の読みどころ。傾向的には不思議とか奇想が好みの様で、本書も「奇妙な味」関係の話がとても詳しい。この辺りはミステリー、SF、怪奇幻想の入り混じる面白い分野だと思うけど、これは40年以上前の感覚で我ながら進歩がないね。創土社とか国書刊行会の名前が懐かしい。2018/08/15
燃えつきた棒
31
お疲れのときに最適!ポテトチップスみたいな本。 🎵やめられない、とまらない🎵おっと、これはちがったか。 ブックハンターにはなり損ねた。 近所に古本屋があまりないのだ。 以前見かけた古書店も、いつの間にか閉店してしまった。 それに、本はそれなりにたくさん持っているが、別に蒐集家というわけではない。 単に読むのが遅いから、本棚に滞留しているにすぎない。 ブクログに登録した冊数は1788冊だが、収蔵スペースに限りがあるので、現在はひたすら削減に努めている。 これでもピーク時からは500冊は減らした。2023/09/14
緋莢
23
<この本を妻、紀子にささげる――本書の印税にすべて古本代にあてることになっている。君にあげられるのは献辞だけだ。あしからず。>というはじまりから笑ってしまいました。高校生の頃に、得意科目の物理で赤点を取ったのは テストの点数が悪かったわけでは無く出席日数が足りなかったためで、その理由はサボって、古本屋に行っていたという古本にハマっていくきっかけや集めた作品(主にSF)について書いたエッセイ(続く 2022/01/10
白義
11
多くの若き読書家たちは古本屋によって育てられる。本書は今では名うての読書家として知られる著者の、若き日の古本屋修行時代と、そこで出会った数々の名作珍作古書について存分に語った一冊だ。ハヤカワの異色作家短編集やラブレー以外のガルガンチュア物、ヴェルヌやルイスなど想像力の結晶のような作品が扱われ紹介としても一級品。しかもなおかつ、こういう風に彼岸の想像力で構築されたような作品たちは、くすんだくらいの古書で読むのが一番その異界感が引き立てられる気がして雰囲気抜群。自分との古本屋道の違いなどと比べてみるのも面白い2018/07/15
三柴ゆよし
8
もちろん古書にて購入。古書エッセイには数あれど、これまで読んできたもののなかでも、著者の趣味が私自身のそれに最も近かったので、とても楽しく読んだ。それにしても本書でも紹介されているモーリス・ルヴェルやジェラルド・カーシュといった異色作家たちの作品が、いまや手軽に文庫で読めるというのは、よい時代になったというべきか、いや、コレクターにしてみれば、むしろ歯痒いのだろうな。心中お察しします。2011/07/12