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内容説明
新選組の創立以来のメンバーであり、副長助勤、十番隊長として数々の修羅場をくぐり抜け、「死に損ない」と渾名された原田左之助。維新以降の時代の変化の中で敗者となった彼は、どのような信条を抱いて生きたのだろうか。早乙女史観による新選組外伝の傑作。
著者等紹介
早乙女貢[サオトメミツグ]
1926年、中国ハルビン生れ。68年、長編歴史小説『僑人の檻』で第60回直木賞を受賞後、旺盛な創作活動に入り、著書は三百冊を超える。現在、日本ペンクラブ理事、日本文芸家協会理事等をつとめる
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ともくん
52
新撰組が鳥羽伏見の戦い敗れ、江戸に戻ってきてからの原田左之助の物語。 運命に身を任せ、たゆたっている印象。 左之助自身は、勝ちとか負けとか関係ないと思っているように感じる。 だが、敗北の物語に見える。 この時代の武士の物語は、ほとんどが敗北の物語なのだろうか。 ほんのひと握りの武士しか、勝利は味わえなかったのだろう。 敗北の物語に見えても、左之助には敗北の色が無い。 そこに、この男の魅力があるのではないだろうか。2021/05/03
小雀✡ずーっと積読減強化月……
10
彰義隊上野戦前からの原田左之助の物語。彼の生涯を追った話が読みたかったのだが…。伊予から脱して試衛館に留まり、新選組となり離別までの一切が語られてません。中には『函館まで行って戦った』なんて節まで書いておきながら、土方サンや箱館新選組にも全く触れず…。最後は『杳として行方知れず』なんて綺麗に纏めた風になってるけど、この読後感の悪さと言ったら。 タイトル『残映』となってますが、ソレはその通りです。が、冠に『新選組』と付けるには納得のいかない作品でした。2014/08/27
ウッチー
8
新選組の数ある本を読んでも、原田左之助、永倉新八は戊辰以後は、土方らと別れ、登場しないことが多い。 特に原田左之助にあっては、謎が多かったが孤独に武士を全うした経緯がわかった。 幕末から明治になっても、関わった人たちは再開し、裏切りを許さずにひとり成敗にいく。 新選組時代から、ひとり者の印象が濃かったが、戊辰以後もひとり者であった。 「さよならだ。二度と横浜にくることはありますまい」左之助〜。どこへ行った〜! 影のように消えた新選組十番隊長。 カッコよすぎます!2015/10/07
いさ
6
上野戦争~明治初期までが舞台です。どうも40年くらい前に書かれた小説のようですが、伝法な主人公・左之助の台詞回しが格好いい。現代の作家じゃなかなかこういう台詞は書けないと思います。美男で男気があって強いのに、物語が進むにつれてどんどん落ちぶれていくのが切ないです。幕末と言う時代は何だったのか?大義とはなんぞや?そして、左之助はどこへ行ったのか?読み終わっても悶々とした、苦しい思いが尾を引きます。不満を言えば、生きてるならおまささん(正妻)のところへ帰れお前。2012/10/05
Ryo
6
残映ーそのサブタイトルの如く、消えていったもののなごりを感じながら、ただ流されるままに生きていくエピローグ的な話。確かに疲れ果てるんだろうけど一冊まるまるそれをやられると一冊の本としてはどーよ?と言いたくなる気も。作者が薩長の士をあまりよく書いてないのが唯一の慰め?そして女はいつの世も逞しい。それがまた左之助を寂しい気持ちにさせるんだろうな。文中にあった、ただぼうっと佇んでいた描写が忘れられない。想像だけど生き残る事なんて全然望んでなくて寧ろ早く潔く死にたかったろうなと思うと切なくなった。2011/02/08