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内容説明
グラマン社の航空機疑惑、鉄建公団などの不正経理事件で荒れる国会。大平は“東京サミット”の成功で自信を得、衆議院解散を強行した。官僚的発想の消費税導入是非をめぐる総選挙で自民党は大敗北。責任問題で首相退陣を要求する非主流派。田中派の支持と鈍牛のしたたかさで居坐る大平。異例ともいえる四十日間の国会空白の中で、主流・非主流派の政権抗争が展開された。
著者等紹介
戸川猪佐武[トガワイサム]
神奈川県生まれ(1923~’83)。早稲田大学卒業。読売新聞社に入社、政治部記者として首相官邸、政党、外務省を担当。’61年退社。政治評論家として多方面で活躍した。主な著書に「自民党の危機」「共産党よ、驕るなかれ」「素顔の昭和 戦前・戦後編」「悪の社会学」「君は田中角栄になれるか」「党人の群れ」(第1~3部)「小説吉田茂」「小説三木武吉」「小説永田町の闘争」(第1~2部)など多数
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Prince of Scotch
15
この巻は自民党結党以来最大の危機といわれた『四十日抗争』の顛末が詳細に綴られている。昭和54年(1979年)10月、大平正芳政権下でおこなわれた総選挙で自民党が敗北したことを発端に起きた40日にわたる混迷と「政治空白」とがヴィヴィッドに描かれている。自身、「四十日抗争」というコトバは聞いたことはあるものの、その実態についてはよく知らなかったので、非常に興味深く活字を追った。主流派vs.非主流派、派閥間闘争など、自民党における「政治の流儀」がいまと全く異なることも印象深かった。2020/02/14
myoko
6
無理をしてうった解散総選挙に敗北した大平。引き続き政権を担当したい大平と責任論をとなえ辞任をせまる非主流派。長老不在で話し合いは平行線のまま。先の見えない状況に大平が思い出した岸信介の昔の言葉。「嫌なことはたとえ一時にしろ忘れてしまうことだ。その局面に挑んだときにテキパキ処理すればいいんだから。そうでないときにくよくよ考え込んだところで意味はない。」この考え方が気に入りました。これからこういう考え方で生きて行こう。いよいよ最終巻へ。2014/01/29
ガタコ
4
図書館本。なんか大平さんが気の毒に思えてきちゃいました。第8部に続く。2023/03/28
のん
2
大平内閣期の四十日抗争とその前後。調停役が出来る長老が不在のせいか、主流派反主流派ともに振り上げた拳の下ろしどころが見つからない。肚芸のできぬ大平に苛立つ中曽根が印象的。ハマコーと一緒に衛藤征士郎(当時参院議員)がバリケードを壊していて笑ってしまった。本当にあの場に彼もいたのだろうか。2024/08/22
東森久利斗
2
国民不在、金権、政策なき論争、小党乱立、弱小野党、派閥人事、外交下手、・・・。島国根性丸出し、学級会レベルの猿山のボス争い。戦後復興期から高度成長期に至る日本的民主政治、保守本流確立への苦難の道。未だ蔓延る悪しき制度と慣習の黎明期。この時代があってこその今がある。角川文庫で読了。2019/08/28