女性文庫<br> 百合子、ダスヴィダーニヤ―湯浅芳子の青春

女性文庫
百合子、ダスヴィダーニヤ―湯浅芳子の青春

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 文庫判/ページ数 361p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784313720268
  • NDC分類 916
  • Cコード C0195

内容説明

―「私は何人にも云わぬ。胸ひとつにおさめて黙る。しかしこのことは百年ののちに明らかにされていいことだ」―湯浅芳子がこう書き遺した百合子との友愛の真実とは何か。戦後史の正史のなかで抹殺された二人の女の新しい愛の試みと挫折の全過程がよみがえる。

目次

第1章 百合子との出会い
第2章 名のない愛の生活
第3章 母にもらった愛
第4章 田村俊子への慕情
第5章 北村セイとの恋
第6章 モスクワの日々
第7章 百合子との別れ

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

遥かなる想い

72
宮本百合子と湯浅芳子の物語である。 二十代後半唐三十代前半の八年間を共に生きた二人の物語である。この時代に 生きた二人の女性の愛の日々が綴られる… 女性蔑視の風潮が強いこの時代に 堂々と愛に生きた二人は凛として清々しい。 昭和初期の文学界の風景と ロシアへの 憧れが時代を感じさせる、作品だった。2023/07/15

moyin

8
読み始めたら止まらなくなる。宮本百合子さんの自伝三部作を読んだ上、この伝記は小説の隠された・嘘で塗り替えられた部分だと感じた。作者の沢部さんは湯浅芳子への愛情をたっぷり持っている同時に、客観的な目線を逸らさない。その姿勢にも文章の深さにも心を打たれた。2022/10/31

ふみ

5
本書は筆者が晩年の湯浅芳子に取材し、戦前に同性愛カップルと噂されながらもベールに包まれていた宮本百合子との関係を中心に描いたドキュメンタリー。戦前の日本では、男女の関係は支配と従属の問題と直結していた。ありのままの自分で、力のバランスが対等な関係を築きたいという渇望が百合子の結婚生活を破たんさせ、芳子との関係に向かわせたと。おそらく実際には異性愛者であった百合子が、自らのセクシャリティを歪めてでも、対等で精神的に自由な愛情を求めて格闘した心象光景に締め付けられる。2013/02/21

takizawa

5
フェミニズムのお勉強のために読んだ。戦前に同性愛カップルと噂された文壇人が存在していたことに驚きですよ。しかし根本的には今も昔も大して変わらないのだなぁ。確固たる規範に抗うか(芳子),規範に取り込まれることを自然と感じるか(百合子)。なお,浜野佐知監督の映画版は鑑賞済み。2012/06/02

ナオミ

2
DIVAのゆっきゅんがおすすめしていたので、探しに探して読んだ。お互いの生き様を尊重した真に対等な関係性を持続させたいなら、その究極は友愛にあるのか。2人の愛情はただの友だちとはまるで違うし、姉妹や母娘とも似つかわしくない。いちいち関係性に名前をつけるなんて無粋。好きな人に気に入られ愛されるためにかわいい振舞いをしてしまうのは生存戦略としてインプットされてしまった毒なのかも。愛憎剥き出しで(しかも手紙で)ばちばち喧嘩するカップルを眺めるのは面白い。ふたりが生まれる時代は100年前でよかったと思うんだ。2024/06/29

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/586685
  • ご注意事項

最近チェックした商品