内容説明
経済のグローバル化、情報化社会の世界化が、国の制度、政策両面で未曽有のインパクトを与えつつある。とりわけ国民国家の相対化が激しく、集権的な国家構造を支えてきた政治・行政システムの制度上のゆらぎと同時に、政策決定システム、利益配分システムのゆらぎと、システムを動かしてきた近代的政治装置である官僚制、政党システムの動揺をも引き起こしつつある。近年の日本で顕著に見られるように、規制緩和、地方分権化、行政改革、政治改革等々の一連の国政改革指向に加えて、金融、通商・外交、防衛、福祉政策の転換、政策転換や新政策の促進、あるいは政策リンケージの変化は、冷戦終結後の世界史的変動に適応しようとする先進工業諸国の国内政治経済変革の一典型と言うことができよう。
目次
第1部 グローバリゼーションと国民国家(国際商取引の新展開―情報化革命と国際的枠組みの流れ;サミットにおけるナショナリズムとグローバリズムの併存)
第2部 欧州統合と西ヨーロッパ諸国の対応(欧州統合とドイツの国内政治の変容―ドイツの連邦制度の変化を中心に;揺れる統一国家イタリア―EU統合と連邦制の狭間で ほか)
第3部 東アジアにおけるリージョナリズムの発展(中国経済のグローバル化とナショナリズム;世界化と韓国の金融危機―第一銀行の不良債権の処理過程を中心に ほか)
第4部 アジア・太平洋地域の政治経済と安全保障(APECの10年とアジア太平洋地域の総合安全保障;冷戦後のアジアの安全保障―ARFを中心として ほか)
著者等紹介
中野実[ナカノミノル]
1943年三重県上野市に生まれる。1967年早稲田大学第一政治経済学部卒。1974年早稲田大学大学院政治学研究科博士課程修了、東京大学法学部助手・茨城大学人文学部教授を経て、現在、明治学院大学法学部教授・政治学博士。英国エセックス大学現代日本研究所副所長兼客員教授・中国吉林大学客員教授・豪州アデレイド大学客員教授(Japan Foundation Professor)等々歴任
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