内容説明
古代日本の葬儀はどう行われていたか?天皇の墳墓の地の、遺跡や伝承に秘められた葬送儀礼の謎!「誄」(しのびごと)とはなにか?大津皇子はなぜ飛鳥の西、二上山に葬られたか?「死」の世界に対する古代飛鳥人の秘められた「心」と儀式を解き明かす。
目次
序章 あやしき二上山
第1章 山越えの墓どころ
第2章 「哭く」ということ
第3章 「誄」という儀礼
第4章 葬送の歌「挽歌」の流れ
第5章 葬送歌曲のにない手たち
第6章 此岸から彼岸へ
第7章 死者の伝記
第8章 当麻寺の謎
第9章 当麻曼荼羅の語るもの
終章 よみがえる二上山
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Shoji
47
二上山は奈良盆地の西、大阪府と奈良県を分かつ金剛葛城山系の一番北の端のお山です。フタコブラクダのような山容の低いお山ですが、歴史時代以前から聖なる場所として信仰の対象になってきました。古代よりアニミズムの対象とされ、殯の場所として崇められ現代に至っています。この本は、大和に住んだ古代の人々の死生観や曼荼羅について論じています。少々マニアックな本です。2019/03/22
うえ
8
「魂呼いは転じて「魂しずめ」となる。この世に死霊の跳梁はゆるされない。そのおそれを防ぐために阿倍氏は死霊の慰撫につとめ、それがふたたび立ち戻ることなく、まっすぐあの世に去っていくことをいのった…そして遺体を納めた柩は飛鳥の地を出発して西の方、二上山西側の墳墓の地へむかう…葬列には、ほかに、雑用に奉仕する人びとも必要であった。その奉仕する人びともまた、特殊な力をそなえている者でなければならない。私はそういう人びとが、天香久山から西へ約二㌔、現在の「四分」の地に居住していたといわれる「遊部」であったとおもう」2020/05/22
月草
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参考文献