内容説明
縄文人は、編物・織物について、すばらしい知識をもっていた。縄文女性は、自然の中からふさわしい植物をえりすぐり、巧みな技法で、編みや織りを創造して、ファッションを楽しんだ。縄文の布の素材・密度・製作技法はどこから来たか。縄文時代の衣「編布」の復原を通して、素材・製作の道具・製作の技法・編と織のちがいなどを、著者がはじめて解き明かす。
目次
1 出会った縄文人の布
2 縄文人の布は細く長く生きた
3 縄文人の衣服の謎
4 縄文の布の謎解き
5 ついに縄文人の布は復原できた
6 編布の衰退と今後のゆくえ
7 研究の中で
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
syaori
57
縄文遺跡から出土する日本最古の布「編布」についての本。出土品の編みの密度や編み方は様々で、薄く細密で現代の衣服としても十分通用するものや、縦糸が並列して編まれているデザイン的に工夫されているものもあり、作者は出土品の再現試作を重ねながら、その編み具や編み方、縄文の衣文化を探ってゆきます。そこから見えてくるのは、美しく仕上げるために糸の撚りの方向を意識したり、着心地を考えて経糸と緯糸の種類を変えたりする縄文人の心遣いと美意識で、作者の試行錯誤を通して縄文人の経験と努力、豊かな生活が垣間見えてくるようでした。2023/07/07
みにみに
3
縄文時代に興味があり、読んでみた。草から繊維を取り出して糸にして、簡単な道具を使って糸を編んで布を作っていた。それはとても時間がかかる方法ながら、現代から想像するよりもっと繊細で多様なデザインの衣服を着ていたのでは、という。防寒には毛皮を使って、夏は裸じゃなくて夏用の涼しい衣服があったかも。頭は櫛で飾り、翡翠のアクセサリーをつけて、籠を編んでポシェットにしたり、昔教科書で習ったイメージよりずっと文化的な生活をしていたんだろうなあ。2013/07/27