出版社内容情報
圧倒的な奇想と物語で我々を魅了し続ける鬼才山田風太郎。ミステリから忍法帖、明治もの、戦中日記まで、その全貌に迫る決定版読本！
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
punyon
37
アンソロでしか作品を読んだ事がない山田風太郎さん。だから、もう亡くなっている方だとも知らなかった(^^;)なのに何故こんな本を読んだのか？…巻頭を飾っていたのが私の大好きな月村良衛さんと今村翔吾さんの対談だったから(笑)お二人の推す『忍法帖』や『明治もの』の数の多さに驚く。戦中戦後の洗脳の歴史を客観視する冷静さ。なのに、史実の下に潜む歴史の中の魔界なんて…現代の作家さんに繋がる突飛な構想をぶち上げた人！大正生まれでこの発想はかなりの強者(笑)俄然、興味が湧いた。歴史オンチに壁は厚いが今度、読んでみる💛2021/05/29
ぐうぐう
36
天才と呼ぶにふさわしい小説家がいるとすれば、まっさきに山田風太郎の名前を挙げたい。革新性、独創性、何よりその面白さ、そして多くの作家や漫画家に与えた影響は計り知れない。本MOOKのサブタイトルにある「古今無双の天才」というフレーズほど、山風にふさわしいものはないのだ。巻頭の月村了衛と今村翔吾の、山風の天才っぷりを語り合う対談からして読ませる。最近、山風のようなぶっ飛んだ小説がない理由を、損をしたくない読者が増え、ハッピーエンドであったり、社会的テーマがあったりしないと損した気分になる傾向が強く、（つづく）2021/09/13
サケ太
18
すっばらしい。最近また熱が燃え上がりつつあったので、かなり助かる。小説の、文の巧さに読めば読むほど圧倒される。読んでいない話も多いので、どんどん読みたくなる。2022/09/12
有理数
18
山田風太郎は2021年が没後20年、22年には生誕100年。それもあってか河出書房新社から諸作が復刊されており、このムックもその一環だろうか。日下三蔵のブックガイド、月村了衛と今村翔吾の対談、笠井潔による生前の風太郎へのインタビューは読み応えあり。風太郎と死別した妻・啓子さんの手記も胸に沁みる。他、12人の作家が風太郎マイベストを語るが、もうちょっと大勢に訊いてほしかった気もする。しかし推されている作品が軒並み超傑作ばかりなので、やはり本書のタイトル通り、山田風太郎は「古今無双の天才」にふさわしい。2021/02/23
engidaruma2006
12
多分、風太郎のガイドブックは過去に幾つも出ているだろうけど、生誕百年を来年に控え、この時期にまたムック本が出た。それだけ風太郎人気が衰えない証だろう。今回も対談、エッセイ、マイベストアンケート、著作リスト等、内容は盛り沢山で、風太郎の魅力が堪能出来た。特に風太郎夫人に寄る『夫・山田風太郎の臨終まで』という手記が、素人っぽい文体なのが逆にリアルで胸に沁み、読めて良かった。ただ、ムック本の定めで１つ２つは「これ、必要か？」と個人的に思ってしまう物も当然入るよね。この本では『小説腹案集』がいらない気がした。2021/03/09
