出版社内容情報
小説・詩・エッセイなど繊細かつ巧みな言葉で世界を切りとり物語を紡ぐ、日本を代表する作家初の総特集。特別書き下ろし他充実の1冊
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
美登利
78
私が未映子さんの本を手にしたのは2012年、エッセイから。面白い方だなと思いその後何冊か読んで小説も読み、今では新作が出れば必ず追いかけています。未映子さんの才能に惚れ込んだ人々の称賛は熱量が多く、息が苦しくなるほど。稀有な作家だと私でも分かります。哲学的と言うか私には難しい部分もあって、でもそれこそが人を惹きつけているのだと思います。そういや、皆さんオススメの詩集は未読でした。この本は厚さはあまりないけれど、二段書きの対談もたくさんあり内容はたっぷりで、未発表の作品も載っていて読み応えバッチリです。2020/08/15
hiro
70
ご本人のインスタで知って購入し、じっくり読もう思っていたが、在宅勤務で時間ができ読み始めた。川上作品との出会いは『乳と卵』で、男性には分からないことも多い作品だったが、大阪弁と句点までが長い独特の文体に引き込まれ、その後は小説とエッセイを追ってきた。『みみずく…』は村上春樹を知りたくて読んだが、あの村上春樹さん以上にインタビュアーながら文学者としての川上さんの存在を感じた。さらにこのムックのインタビューや対談塔を読み、文学者として“ことばのたましいを追い求めて”いる川上さんを強く感じることができた。2020/04/12
yumiha
42
誌友さんレビューで知った。さまざまな人物のさまざまな角度から迫る、まるごと川上未映子についての本。世間には安易に言葉を信じたり好んだりする人が見られるけれども、そこにちゃんと疑義申し立てをしているところが信頼できた。一番興味深く読めたのは、多和田葉子との対談。お二人とも世間一般や商業出版に流されることなく、ご自分の矜持を持っておられることや身体など自分の違和感を大事にされていることが伝わって来た。また、村田沙耶香の「世界の善悪は立体」、岸正彦の「自己は傷によって構築される」という視点には示唆を受けた。2022/07/16
ぐうぐう
27
物語よりもキャラクターよりも主題よりも、言葉こそが川上未映子の個性であり、魅力であることはあきらかだろう。このMOOKの副題が「ことばのたましいを追い求めて」であるように、言葉の音、リズム、意味(あるいは無意味)、身体性等々、あらゆる角度からの試行がそこに「たましい」を宿らせ、イーユン・リーとの対談で川上の言う「小説のヴォイス」を生み出すように、内からも外からも言葉の可能性が小説を、さらには世界を創造していくのだ。ただ、穂村弘との対談で川上はこうも言う。(つづく)2019/12/17
はるき
25
「おめかしの~」で入った読者にとって極めて新鮮な内容。引き出しが多い作家で、エッセイストとしても有能。追いかけたい。2019/12/06