出版社内容情報
没後20年を迎える須賀敦子を彼女が愛した本や作家からとらえかえす。未刊の翻訳など収録、池澤夏樹、松山巌、湯川豊、若松英輔他。
河出書房新社編集部[カワデショボウシンシャヘンシュウブ]
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
吉田あや
78
池澤夏樹さん監修の元、今月から刊行される「須賀敦子の本棚」全9巻に先駆けて組まれた特集号。宣伝的要素がほとんどかなぁ…と思っていたら、読み応えのある未収録エッセイを含む充実した収録内容と、素晴らしい評論や寄稿揃いで大満足。須賀さんが1965年にイタリア語に訳し刊行された日本近現代文学アンソロジーに書かれた夏目漱石、泉鏡花、谷崎潤一郎、林芙美子、中島敦など、作品の紹介文の訳出しも嬉しかった。特に「坊ちゃん」への想いは共感しきり。これからの刊行がますます楽しみに。2018/06/19
mizuki
39
本に読まれてしまう須賀さんだからこそ、「自分の読み物はよく選ぶこと」とおっしゃったのだなぁと思いました。「信仰も、心の純潔も、われわれは常に、みずみずしく保とうと心がけねばなりません」。須賀さんとの思い出を語ってくださる方のお話はどれも面白く読めました♡ また、未収録作品もいくつか掲載されており嬉しかったです(*´˘`*)2018/09/27
あきあかね
27
「···人間のだれもが、究極においては生きなければならない孤独と隣あわせで、人それぞれ自分自身の孤独を確立しないかぎり、人生は始まらないということを、すくなくとも私は、ながいこと理解できないでいた。 若い日に思い描いたコルシア·デイ·セルヴィ書店を徐々に失うことによって、私たちはすこしずつ、孤独が、かつて私たちを恐れさせたような荒野でないことを知ったように思う。」 透き通った静謐な文章、エピソードの連なりから人物が浮かび上がってくる描写、失われたものへの追想と愛惜ー。小説を書かなかった文学者でこんなに⇒2019/12/16
kaoru
17
没後20年を迎え、須賀敦子の詩集が刊行されることになった。本書はそれを踏まえての特集号のようだ。須賀さんがイタリア語で紹介した日本の作家たち〈漱石、鴎外、庄野潤三など)、エルサ・モランテやナタリア・ギンズブルグと須賀さんなど読みごたえのある内容。四方田犬彦が『須賀敦子と詩的なるもの』のなかで「須賀敦子という人は、生涯にわたってローマに対する警戒心を解くことがなかった。……わたしが…彼女にとって書くこととは包み隠すことだ、と書いたのはそのためである」と記しているのは彼女の本質を言い当てていると思った。2018/03/20
algon
12
向田邦子しか読んだことのないムック本だが面白そうなのでいろいろと手を出していこうと。大体は読んだがそれでもよくわからない須賀敦子を選びゆっくり挑戦。比較的若い頃作られた詩が見つかり、詩人須賀敦子としての分析にそこそこのスペースが割かれている。様々な理解、分析がなされた須賀だが湯崎、佐久間、岡本、古賀の4名のエッセイや評論は当然敬意に満ちてはいるものの面白い視点の分析で興味を持って読めた。自分は須賀の著作は全て遠近法の焦点に比すべき亡き夫のペッピーノに向かっていると思っているがそれと近い話もあって良かった。2022/10/17
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