出版社内容情報
職業作家を両親に持つ著者が描く、戦前の文豪の活躍と戦後の異才たちの多彩な作品により生み出された、百年の空前の日本文学隆盛期。
内容説明
戦前の文豪の活躍と、戦後の異才たちの多彩な作品により生み出された、百年の空前の隆盛期。書くことは即ち生きること―小説ひと筋のふたりの作家を両親にもち、小説を愛してやまぬ人々に囲まれてきた著者が活写する、小説ブームの凄さと情熱の日々。
目次
小説ブームの世紀
星と流人
幕末の破滅と創造
人生を変えたい
夢を形に
落ちこぼれの珠玉
終わりから始まる物語
たちすくむより、跳べ
夜に消えた人
カフェ文壇
「百万人の小説」
エリスの娘たち
新しい今を新しいかたちで
著者等紹介
久我なつみ[クガナツミ]
1954年生まれ。同志社大学文学部卒業。YMCAに英語講師として勤めるかたわら美術を学び、新制作展入選三回。文筆に転じて、『フェノロサと魔女の町』(河出書房新社、1998年)で第5回蓮如賞受賞。著書は他に『日本を愛したティファニー』(河出書房新社、2005年、第53回日本エッセイストクラブ賞)等がある。両親はともに作家である邦光史郎、田中阿里子(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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たまご
12
江戸文禄期の井原西鶴からおおむねミレニアムあたりまで,その時代時代を彩った作家と,出版社との関係,一般大衆に受け入れられたものなどが,時代の流れとともに説明されます. 作者のご両親が作家なだけに,戦中戦後から以降の出版社と作家の関係や,各出版社の立ち位置が,違った見え方をしてきます(特に中央公論社が).作家はもちろん,出版社も時代と主義と時々の国家によって,大きく翻弄されるんですねえ.2021/11/14
まいたけ
1
作家さんが書く文学史。井原西鶴から現代まで、作家と出版社の動向を物語調に綴るので読みやすく、各作家の人柄もわかる。学校で習う文学史が苦手でも大丈夫。 特に戦後の文壇の復活劇は敏腕編集者や作家の奔走があったからなんだなーと。政府の戦争政策に協力してた出版社はGHQに睨まれ、自由に信念を貫いた出版社は戦後信用を得るっていう逆転もおもしろい。芸術家としても編集者としても経営者としても能力を発揮した菊池寛はさながらスーパーマンだ。2022/05/25