内容説明
1284年の冬、南フランスの司教区で、司教が何者かに惨殺される。シュケ助任司祭は殺人事件の真相を調べるため、謎に包まれた司教の過去を求めてパリに旅立つ。時を同じくして新しく着任した司祭アンノ・ギは、布教活動を立て直すため、呪われた村に潜入し、村人に正しい信仰をとりもどさせようとする。いっぽうローマ教皇庁には、不祥事を起こした息子を救うため、高名な騎士が現れる。別々に進行するこの3本の軸は、はたして何処につながっていくのか?中世の深い闇と幻想。古い裁判記録が語る、消された歴史とは何か…。やがて読者は、予想もつかない恐ろしい結末へと導かれる。
著者等紹介
サルドゥ,ロマン[サルドゥ,ロマン][Sardou,Romain]
1974年、パリに生まれる。父親は、シンガー・ソングライターのミッシェル・サルドゥ。高校を中退し、脚本家になろうと決意する。演劇学校に入学し、3年にわたって学ぶと同時に、劇作の演習を重ねる。4年の歳月をかけて、私設図書館をつくり、歴史書を読みあさる。その後、ロサンゼルスに渡り、子ども向けの脚本を書く。フランスに帰国して、結婚。処女作『我らの罪を許したまえ』で成功を収める
山口羊子[ヤマグチヨウコ]
翻訳家(フランス語・英語)。お茶の水女子大学文教育学部(仏文学・仏語学専攻)卒業、フランスのランス大学留学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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GaGa
39
13世紀の南フランスが舞台となる、この時代ならではのサスペンス。映画を見るようなテンポで書かれており、読みやすいのは昨今の流行りか?結果行き着く先が黙示録にあるハルマゲドン(規模はともかく)となるのはセオリー的な展開だが、謎が小出しで明らかにされる構図は読み物としての面白さを保っているものの、少し後半は息切れしたのかまくり気味。とはいえ、読んでいる間はとても楽しめた。2011/03/28
星落秋風五丈原
12
誰も救われないドロドロ本。佐藤賢一さんの「オクシタニア」と“宗教必ずしも救いならず”という点が似てました。2015/03/04
藤中恭美
4
ストーリーだけでも、かなりそそられますが、登場人物であるアンノ・ギやシュケなどもいい感じで、しかも初っ端から謎めく展開に読むほうのテンションもいやでもあがります(笑) ただ、真相が徐々にわかってくればくるほど、面白くない感じになってきて(笑)、村に旅の一座が来たときには、ちょっとうまく行き過ぎの感もして、しかも事が難なく解決へと導かれていくさまは、案外、淡白だとか思っていたら、えっ~~~!! そんな~~! どうも後味が悪すぎるような。。。2010/09/03
こさく
3
『薔薇の名前』と肩を並べる云々・・・の惹句がハードルを上げている。まったく出版社の紹介の仕方の失敗。普通に面白い。浮かび上がってくる物語のミステリーも十分魅力的。マニアのついた『薔薇の・・・』なんて引き合いに出すから、予断を与えて魅力を減ずる。ただキリスト教の世界に頼りすぎて、あっさりしすぎる読後感が物足りないのは読者の知識の問題か。翻訳本の宿命か?とにかく総じて面白かったというところ。2010/12/04
ゑこびす
3
たいへん面白い作品であった。 13 世紀のフランスとローマ教皇庁が舞台の歴史ミステリー。 南仏司教区での司教惨殺事件を中心に、 3 つのストーリーが其々に展開していくあたりは非常にワクワクとする。 これはすごい傑作だぞと期待大。 各ストーリーがリンクし始めたころから、やや失速感(?)。 前半ゆっくりゆっくりと進んでいた話が、 後半テンポアップしてきた事が原因か? だが十分楽しめる作品だとは思う。 でも惜しい…。 2010/10/02
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