内容説明
ときに君主や神のために勇猛果敢な戦いをくり広げ、ときに風雅な趣味人として宮廷に華を添えた、中世ヨーロッパ社会の立役者―騎士。今もファンタジー世界で脈々と生き続けている彼らだが、その実態はあまり知られていない。騎士たちは何のために剣をとったのか、めざす道はどこにあったのか。騎士の誕生から没落まで、歴史のドラマを追いながら、その真の姿に迫る。
目次
第1章 騎士の誕生と活躍
第2章 騎士団
第3章 儀礼と遊戯の世界
第4章 騎士道
第5章 武器と甲胄
第6章 もう一人の主役―「馬」の歴史
第7章 物語のなかの騎士
第8章 騎士身分の民主化と閉鎖化
著者等紹介
池上俊一[イケガミシュンイチ]
1956年生まれ。東京大学文学部卒業後、同大学大学院人文科学研究科博士課程西洋史学専攻中退。現在、東京大学大学院総合文化研究科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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たまきら
38
著者のイギリス史がとても分かりやすかったので、こちらも読んでみました。美しい色彩が再現された豊富な挿絵に脱線しながらも、ヨーロッパの「騎士」の定義を細かく分類して紹介し説明してくれています。青池保子さんの中世の世界を思い出しながらうっとり読みました。ヨーロッパ史の本だから仕方ないけれど、「騎士道」はきっと世界中にあったはずなので、そんな広い視野での「騎士」史も読んでみたいなあ…なんて思いました。2021/03/02
花林糖
16
(図書館本)豊富な図版に満足。弓などの飛び道具は卑怯な武器とされていた事にビックリ。2016/05/24
マーブル
6
騎士とはどのような存在なのか。いかに生まれ、何を持ってその証を立てるのか。アーサー王の物語を紐解くと、自然と沸いてくる疑問。疑問解消の一助になればと薄くて軽そうなものを選んだのは、ひとつには彼らの装備について図解で見られればと考えたのだ。が、読んでみると図解を見られたばかりでなく、その成り立ちや没落について考えさせられた。歴史という奔流の中で、短い間ではあるが強く輝いた存在。そのものは流れに乗りきれず姿を消していったが、物語の中で理想の姿として、あるいは西洋社会における規範としてその影響を今尚残している。2019/05/27
tieckP(ティークP)
6
騎士のさまざまな要素についてうまく章立てしてまとめられた本。池上氏は西洋中世の第一人者で著書も多いのだが、ややご自身の知りたいことをその瞬間、学びながら書いていく雰囲気がある。しかし本書は筆者がこれまでの研究あるいは趣味によって頭のなかに蓄積した情報をもとに余裕をもって書いている雰囲気で、無駄な箇所がなくかつ全体としての流れが整っており、分量が多くないにもかかわらず、読みやすさと資料性を兼ね備えている。とりわけ、実際の騎士のあり方と騎士物語で描かれる理想の乖離と融合について、丁寧に述べられているのが良い。2018/05/22
Christena
4
騎士というものについて、その制度が辿った歴史や、武具、馬、騎士が登場する物語など、様々な角度から解説した本。このシリーズは写真が多くて、見るだけでも楽しいので好きです。2014/02/11