出版社内容情報
恐怖や畏敬の対象だった妖怪が、形を与えられ、戯画や玩具の題材になり、現代では、水木しげるの登場で市民権を得、楽しむものとなった。妖怪画の歴史を絵巻から浮世絵、マンガまでたどる。
内容説明
絵巻からマンガまで現代に生き続ける妖怪たち。
目次
第1章 妖怪マンガの源流
第2章 マンガとしての妖怪浮世絵
第3章 妖怪図鑑の誕生
第4章 草双紙は妖怪マンガ
第5章 江戸のポケットモンスター
第6章 文明開化の妖怪マンガ
第7章 妖怪画の収集と研究
第8章 「妖怪マンガ」誕生前夜
第9章 水木しげると第一次妖怪ブーム
第10章 妖怪マンガと妖怪研究
第11章 妖怪マンガの未来
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ホークス
32
妖怪は中世の絵巻以降、江戸時代を通じて様々な紙媒体で活躍した。黄表紙を含む草双紙、合巻、読本、浮世絵、北斎漫画等の漫画類、ポケモン図鑑的な化物尽くし、カルタ、双六、ペーパークラフト、アニメの先駆け的な幻灯。維新後もポンチ絵や新聞錦絵に現れるが、次第に時代遅れになっていく。これが戦後、紙芝居や貸本マンガを経由し、水木作品に至ってキャラクターとして勢いを取り戻す。本書は妖怪のこうした変遷を、豊富な図版で辿る。昔の造形を我々が理解できるのは水木氏の恩恵が大きく、改めて感謝の気持ちが湧いた。2018/07/14
れい
12
【図書館】斜め読み。怖いものでもあり、ユーモラスなものでもあり、時代によって妖怪の存在も質の変化があるようです。妖怪漫画の紹介も載っていました。2015/12/25
紅独歩
4
兵庫県立歴史博物館の特別展「妖怪天国ニッポン-絵巻からマンガまで-」と連動した内容。国芳や暁斎と並んで諸星大二郎、今市子らが取り上げられている。妖怪漫画といえば水木しげる、という安易なくくりでないのが良い。画家だけでなく、収集・研究家にも言及しているのにも注目。室町時代に成立した「百鬼夜行絵巻」から、江戸の浮世絵・黄表紙を経て現代のマンガまで受け継がれた「妖怪」というイマジネーションは、私達の大きな財産だ。それは時には権力批判の隠れ蓑であり、時には旺盛な知識欲の発露であり、また疲弊した日常の癒しでもある。2009/04/26
澤水月
3
秀逸! 水木しげるのルーツも丁寧に図解と解説あり、「ぬらりひょんが妖怪の親玉」と言い切った昭和初期の妖怪画談全集、水木ブーム以前の紙芝居、貸本に多くあった「奇太郎もの」や戦前の都市伝説的な「コキカキイキイ」などをずらりと並べ圧巻。百鬼夜行抄などの現在進行形妖怪漫画にも触れておりかゆい所に手が届く09年刊の妖怪の教科書だ。絵と字のバランスも◎2009/09/28
takao
1
ふむ2021/08/15