内容説明
ブリュッセル、パリ、ウィーン、ブダペスト、プラハ、バルセロナ…ヨーロッパにいっせいに花開いたアール・ヌーヴォー建築の潮流を俯瞰する、決定版ガイド。
目次
1 アール・ヌーヴォーとその時代(アール・ヌーヴォー建築の背景と役割;近代都市の誕生;アーツ&クラフツを経て;万国博覧会という舞台)
2 アール・ヌーヴォーの開花(聖地ベルギー;ベル・エポックのフランス;「思想の国」ドイツ)
3 ハプスブルク王朝最後の栄光(王朝最後の帝国オーストリア;ハンガリーのマジャール・ヌーヴォー;チェコのボヘミアン・ヌーヴォー)
4 ナショナル・ロマンティシズム(フィンランドの花崗岩建築;スペインのカタルーニャ・モデルニスモ)
5 各国への伝播
著者等紹介
橋本文隆[ハシモトフミタカ]
1940年東京都生まれ。1963年千葉大学工学部建築学科卒業後、芦原義信建築設計研究所入所。1973年計画環境建築に参画、同研究所所長として故木島安史とパートナーシップを組む。1991年橋本文隆設計室設立。千葉大学客員助教授、同非常勤講師をはじめ、早稲田大学、東京理科大学、東京都立大学、東海大学で非常勤講師を務める。1988年「TUアパートメント」で東京都建築士事務所協会賞優秀賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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ヴェネツィア
300
本書はアール・ヌーヴォー巡りヨーロッパ巡礼の旅といった趣き。まずは聖地ブリュッセルから。個々の建物がそれほど大きくないので目立たないが、内外部の意匠は見事なアール・ヌーヴォーで統一されている。オルタ、アンカールなどたくさんの設計者を輩出した。フランスにはパリのギマール(メトロのアビス駅がよく知られる)。そしてラヴィロット(表紙はこの人が設計したアパート)。ガウディを思わせるファサードである。さらにはアール・ヌーヴォーの街ナンシー。オットー・ワグナーのウイーンは言うに及ばずという風格と貫禄である。2024/04/08
こぽぞう☆
15
アール・ヌーヴォーという運動そのものが短い期間で過ぎ去ったものなので、建築となると数が限られているんだなぁという印象。そんなこともあってか、絵画や工芸品で知る「典型的な」アール・ヌーヴォーではないものも多くおさめられている。2017/05/12
くみ
11
19世紀末から20世紀初頭のわずかな期間に流行したアールヌーヴォー建築。「制約がないため過剰になり自然と消滅していった」など、建築史の中で無視されていた時期もあると知り驚きだった。主な特徴は曲線の多用と植物や自然のモチーフ。ガウディもアールヌーヴォー様式に分類される。フィンランドにアールヌーヴォー建築が沢山残ってるのは初めて知った。サーリネン作品を巡る旅に出かけたくなる。2024/10/06
よし
4
アール・ヌーヴォーというとフランス、という印象を持っていましたが、欧州を中心に世界中にその流れをくむ建築があることが分かりました。かなりの情報量でしたので、本文をひととおり読んでから写真やその解説を眺めるという読み方で良かったと思います。ベルギーとスペインには実際に行って建物とその土地の空気を感じてみたいです。2010/10/03
どうしよう
3
アールヌーヴォー、好きだなぁって思うけれど俯瞰して見たことはないなって思って読んでみました。いかに、「素晴らしい建築」となるのが難しいことか、を再認識というか。やり過ぎても悪趣味、中途半端だと「折衷主義」…アールヌーヴォー建築が数十年で終わってしまったって言うのも分かるなあ。でも好きなんだよなあ、パリの地下鉄駅、眺めに行ったっけなぁ。2018/02/24