Kawade道の手帖
吉田健一―生誕100年最後の文士

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  • サイズ A5判/ページ数 191p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784309740430
  • NDC分類 910.268
  • Cコード C0095

目次

吉田暁子―父との時間
新発見論考 ヨオロツパの文學での無頼
未刊行資料 中村光夫宛書簡
小説 春の野原
対談 吉田健一が小説を書く時をめぐって(金井美恵子;丹生谷貴志)
食と吉田健一
論考
吉田健一キーワード事典

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ゆーかり

13
小説「春の野原」のみ再読。 旧字旧仮名。英國の本屋が50何ヶ国かの短編を纏めた本を出す企劃を立て、それに日本からも何篇か送る話なのだけど、何篇なのかのサム問題から、熱狂的自薦他薦、飜譯、はたまた実は作品が芥川の翻案と分かり、著者は出版社社長からロンドンへ行きながら作品を書き換えるよう頼まれたり。翻訳の最中社長が家に来るのだけど、なぜか来るごとに家や家具が新しくなっていく。そしてロンドンまでの飛行機の工程がやたら長い!何日掛かっていたのだろう。「日本文學海外輸出達成聯盟詮衡委員會」が発端のまるで酔った様な話2018/05/09

渡邊利道

4
中村光夫への書簡が目玉で、それに関連する短編『春の野原」と中村の吉田評「自己表現について」を収録。寄稿では金井美恵子・丹生谷貴志対談があいかわらずな雰囲気で、金井がすべて自分の作品に引きつけて話し、それを丹生谷が批評的にまとめるやりとりでなかなか面白かった。「春の野原」を何度か読み返したくなる対談。あと、用語集が素晴らしい。2017/03/28

ゆーかり

4
英文学者、翻訳家、評論家、小説家、そして吉田茂の長男。吉田健一ファンには嬉しい1冊。様々な人たちが書くものから彼の人となりが分かって面白い。書き手たちについての説明もあれば更に良し。こうしてみると、あらためて一昔前の人だったのだなぁとも思う。上流階級の人、そういう時代。紳士、ダンディ、ふにゃふにゃしている、英仏文学への深い知識、独自の見識、文体、博覧強記、お酒。収録されている「春の野原」も面白い。英国ユーモアと通じる所あり。芥川の秋山図も気になる。また吉田健一の書いたものが読みたくなった。2013/09/19

massda

1
謙さんが吉田茂をやるんだったら吉田健一はぜひ杏で。ウワバミっぽいので合っているのではないかと思う。吉田健一の文章はすごく日本的で、それがバイリンガルとして育ってマルチリンガルであったせいなのかどうなのか、誰かに解明してほしい。一世代上の谷崎潤一郎も英文翻訳調→1文がすごく長い日本語文章シフトしている。何か、そういうもんなの?2012/09/20

でんでん

0
初めての吉田健一。評論は斜め読みしたが、収録された短編「春の野原」は傑作。英国のアンソロジーのために公募された短編が実は芥川の盗作だったため、先方にバレないよう主人公の作家が代筆する話。英語の「some」は10より下かで作家たちが喧嘩したり、全編に渡ってスノッブでデタラメで、変てこなホラ話が延々と続く。それだけで小説の全てが構成されているのが凄い。このとぼけっぷりは内田百閒以上かもしれない。森見登美彦が一時期、吉田健一に嵌っていたらしいが、それもわかる気がする。2023/02/04

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