出版社内容情報
20世紀最大の巨人の多面的で限りなく豊かな思想と軌跡を読むための決定版。川田順造、渡辺公三、小田亮、出口顕、今福龍太、港千尋、安藤礼二、松枝到、小沼純一など。
目次
レヴィ=ストロースに出会う(川田順造―レヴィ=ストロースへの道/レヴィ=ストロースからの道;渡辺公三―レヴィ=ストロースは何を問うたのか―世界にはじめて直面した人類のように ほか)
レヴィ=ストロースを読むよろこび(今福龍太―野生の調教師―従順な猿、変身する鳥、神秘の猫;港千尋―神話的直観の庭で ほか)
未来のレヴィ=ストロースへ(淺野卓夫―サンパウロ、時の窓辺で―レヴィ=ストロースと「忘れられた日本人」;石川直樹―レヴィ=ストロースの戒め ほか)
レヴィ=ストロースからはじまる(松田素二―反人種主義という困難―レヴィ=ストロース『人種と歴史』を読み直す;石原俊―戦争機械/女の交換/資本主義国家―ノマドとレヴィ=ストロース ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐島楓
14
小田亮先生の文章が一番わかりやすかった。真性の社会云々というのはネット社会にもそのまま持ち込めそうな構図だ。その先見性が素晴らしい方だったんだなと感じた。2012/02/21
白義
9
レヴィ=ストロース記念論文集という感じに、日本のレヴィ=ストロース論のベテランや俊英たちの思い思いのエッセイを集めた高度な本。クラストルや芸術との絡み合いなど、話もいい具合に広く、20世紀最大の人類学者の相貌がありありと再現されている。人類と世界の、原型的な論理に迫るダイナミックな射程、具体的なものを通して抽象的な構造に迫る繊細な手付きなど、レヴィ=ストロースの魅力をよく伝えるムックと言える2012/04/12
佐藤一臣
6
レヴィ=ストロースという人間を語る随筆集だった。彼が提唱した構造主義の中身を理解するには、著者らの感覚的な思いが強くて難しい。実存主義を批判して、個人の力で生き方を変えられるという視点から、個人が環境や集団における無意識下のルールによって縛られているという視点を入れたのが構造主義らしい。その中でも「変換」がキーワードで、一見するとバラバラな具象は、変換されているだけで、そこにはある種の構造があるということらしい。入門と言っても、構造主義に到達したストロースの仕事や過程はわからなかったなあ2023/12/20
きいち
5
どの研究者も文章が分かりやすく、いい入門だった。印象的だったのは浅野の、青年のレヴィストロースをブラジルで迎えたアマチュア移民考古学者の話、まさに交わりという感じ、悲しき熱帯の読み始めにいい勢いがついた。2012/03/10
塩崎ツトム
3
その人生はあまりにも長く、人類思想史に遺した功績はその人生に比例する以上に大きかった。ちなみに「悲しき熱帯」で若き日のレヴィ=ストロースが調査に同行する日本人老学者とは鳥居龍蔵で、日本語とトゥピ語の接点を探したアマチュアの日系人学者香山六郎ともそこには接点があった。2017/12/28