内容説明
キリリンコロン。ぼくらの前にあらわれる少年は、六歳で死んだ兄さんの幽霊か。兄さんと姉さんのあいだにはもうひとりの兄さんがいた…。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
深青
19
久しぶりの長野作品。日常と不思議が同居している感じのする長野さんの世界観がやっぱり好き。あの男の子は、本当にちぃ坊の兄弟だったのかなぁ。真相には触れられていないけれど、私は兄弟だと思いたい。2015/07/15
ゼニガメ
8
【家族週間】昭和レトロな空気が好き。思春期の背伸びしたいお年頃の主人公。「ちぃ坊」と呼ばれるのを嫌がったり、年の近い兄をライバル視したり。中学男子ってこんな感じ。四歳下の弟が、中学に上がったとき「姉ちゃんをやめて、姉貴と呼ぶ」と妙な宣言をされたことを思い出す。2015/06/26
凪織
8
児童書とのことで、読みやすかった。水天宮、狗張り子、銭湯。ノスタルジックで、うっすらセピア色、もしくは夕日の黄金色のイメージ。長野さんの作品に出てくる人物は特徴的で独特な名前だなぁとつくづく思う。この名前がまた不思議な空気を漂わせる。キリリンコロンの音の少年は結局誰だったのか。色んな要素が詰まっているのにどれも掠るばかりで確信に触れず、ぶつ切りにされてしまっている感じ。でも、実際の人生で起きる出来事ってだいたいそんなものか、とも思う。2014/12/14
紫陽花
8
他の長野作品に比べたらわかりやすいが、児童書にしては難しいのでは。児童書というより長野作品のひとつとして読むべきかも。私にはひとつ年下の妹がいるだけなので、年の離れた兄弟に少し憧れます。特にお兄ちゃんほしい!兄市のぶっきらぼうな優しさにきゅんとした。大翼には、本当にいたかもしれない弟介のぶんまで大きくなってほしいです。2014/09/15
柚桜
8
水天宮神社の近くの話で下町のような賑やかでみんなが顔見知りな温かい雰囲気がとても伝わってきた。兄とちぃ坊の思春期の複雑な胸の内もじんわりときました。不思議なことに大人になってしまうと思春期の頃より近くなったような気もするし遠くなった気もするんだよね。キリリンコロンという音が実際聞いた事ないのでどんな音がよく分からないのですが、この音と共にやってくる学帽をかぶった少年がミステリアスで最後まで正体が分からないのも不思議めいた美しさがあってよかった。夏のお祭りの季節などにゆっくり浸って読むのがオススメ2014/08/09