感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
天の川
28
短編が24話。どれをとっても濃密で、異界とのあわいを漂っているような気持に引きずり込まれる。雪の日に行商のおばさんが人魚を売りに来る「六花」、冬の海辺の掘っ立て小屋でのミイラづくりを少女が見学する「ミルラ」(干物を売るおばさんは、「ミイラは昨日の脱けガラだけっど、干物は明日の血肉になるっさ」という)…。「龍田姫に魅入られた話」も凄い。どれかひとつでも、読んでくれた人の“想像の種子”になってくれたら…という作者の言葉。想像したら、けっこう怖いんですけど…2017/01/06
阿部義彦
17
私が長年探していた本です。ブックオフで全2巻を見つけました。でも、確か装丁が思ってたのと違ってた様な?よく読んだら元は講談社から出てたのを、エピソード0を加えて新装版として出版し直したものだそうです。諸星大二郎さんと似た位置を漫画界で占めてますよね!流石河出書房新社ですな。この本はオムニバス形式で1話の長さも様々で、なんと言うか五十嵐大介さんの新たな心構えの表明みたいな所があると思います。彼岸とこの世との橋渡しとでも言える内容。最近は女性誌でも連載されて新たな読者を増やしています。2024/11/30
Bo-he-mian
17
ご存じ、五十嵐大介のデビュー作。アフタヌーン四季賞の「お囃子が聞こえる日」を収録。『はなしっぱなし』というタイトルの通り、奇想のワンアイディアで見せるショート・ショート作品集。漫画に物語性やテーマ、オチみたいなものを求める左脳型の人間向きではなく、とにかくイマジネーションと視覚的快楽を求める右脳型向け。自然観をベースに置く現在の姿勢よりも、奇想のインパクトが勝っている作品群で、民間伝承や都市伝説を想像力で増幅させたようなイメージ。個人的には、龍の死骸が風に乗ってどこまでも漂っていく「ミルラ」の描写が好き。2018/10/10
びびとも@にゃんコミュVer2
5
再読。紛れもなく「魔女」や「海獣の子供」の源流になる話。荒削りだけど、それがその分不気味さや怖さを際立たせていると思う。人魚を買う話し(六花)が怖くてずーっと印象に残っている...。2012/09/08
菊蔵
4
最近の作品を読んだ後にまた改めて読んでみると荒削りなところも感じるが、独特の雰囲気と視点で語り続ける姿勢は今となんら変りはなくすごいなあとため息が出る。まず最初に五十嵐氏を意識したのがこの表紙だったなーと随分前に本屋で出会った驚きがまざまざと蘇った。2012/08/26