内容説明
「怪奇現象」「妖怪」「怪獣」「怪人」…ありとあらゆる「怪」の世界を描いて、石原豪人は戦後の挿絵界に大きな足跡を残しました。昭和30年(1955)頃から挿絵画家として活動を始めた豪人は、たちまち人気を得て、以後50年間にわたり精力的に描き続けました。天才にして、さらにたゆまぬ努力を続けた挿絵画家・石原豪人の全貌を紹介する初めての本です。
目次
怪人画―闇に棲む人々
妖怪画―「見えないもの」をリアルに表現
怪獣画―迫力と怪奇の世界
幽霊画―地の底から怨念の声がきこえる
探偵小説の挿絵―恐怖と謎の女
挿絵画家デビューの頃―凛々しい美女とスターの似顔絵
スポーツ画―筋肉の躍動
少女雑誌でも活躍―可憐な少女を描いてさえエロティック
まんがにもチャレンジ
虚構世界―死後の世界は本当にあった
セクシー&セクシー
晩年に新境地を開拓
著者等紹介
中村圭子[ナカムラケイコ]
1956年生まれ。中央大学文学部哲学科心理学専攻卒業。1984年より現職。現在、弥生美術館学芸員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
たろさ
12
[図書館本]「力・毒・色気あふれる」画家。美男美女、特に女性が妖艶。当時の少年マガジンに掲載されていたとのことだが時代を感じる。絵が上手くてリアルなせいか「家族が極楽でコイになっていた」や「中国怪人(仮題)」はギャグっぽい。石原豪人の「坊ちゃん」の解釈が面白いがどうしてそんなに執着したのか。それにしても読みたくなったきっかけが全く思い出せない。2018/09/28
出世八五郎
11
懐かしく感じるのは錯覚かも知れないが、彼のイラストには接した記憶がある。それは何かの特集かも知れないけども、ケイブンシャなどの怪人百科などに使われていたと思う。それもそのはずというか平成10年(1998年)に亡くなるが、直前まで仕事をしていた様子だ。彼の事を北斎のようだ!と評すインタビューがあるが、日本美術の系譜に連なるのかも知れない。挿絵師や絵師に詳しくないが、伊藤彦造の鋭いペンタッチから、更に進化して肉付けされたような絵を描く。昭和29年(1954)から活動を始めた。誰もが一度は見たことあると思う。2017/01/05
mari
8
子供の頃読んだ「こわい話」の挿絵はこの人だったのかー。妖怪ものでも見た記憶がある。とてもリアルで真面目なイラストなんだけど、みょうに心に残る。美しく均整のとれたヌードの数々と醜い化け物の対比が印象深いからかなぁ。人間+化物ってのもガン見してしまう魅力があります。2013/10/27
紫
4
20世紀の後半、エロ雑誌だろうがホモ雑誌だろうが児童書だろうがおかまいなく、描かせてもらえるならジャンルを選ばずに描きまくった石原豪人画伯の伝記であります。アントニオ猪木とブラッシーがリングで戦っている次のぺージは宇宙人のイラストだったりするようなこの本。現在三十代より上の世代はきっとどこかで見覚えがあるはず。人面魚、人面犬、人面豚、はたまたピラニアの被り物をした男女が若者に襲いかかっている絵(悪徳商法に注意をよびかけているの?)なんかまで同じ画風で描いているんだから、とってもシュール。星5つ。2020/10/22
フク
3
★★★★☆。天才にして孤高の挿絵画家・石原豪人のその人となりが解る有難い一冊。昭和40年代、少年マガジンの大伴昌二監修のグラビアに接した少年たちの意識下に固く刻まれている、あまりにも怪しく艶かしい挿絵の数々は忘れられない。正に天才と狂気は紙一重を地でいく傑作群に改めて痺れる。2012/04/16