出版社内容情報
仮往生伝試文 解説=堀江敏幸
ブロッホ、ムジールなどの翻訳を経て、作家に。『杳子』で芥川賞を受賞。『栖』で日本文学大賞を、『槿』で谷崎潤一郎賞を、『中山竅xで川端康成賞を受賞。『仮往生伝試文』で読売文学賞を受賞。
内容説明
著者自身が厳選した待望の著作集。読売文学賞受賞の代表作「仮往生伝試文」全作を収録。説話が伝える僧俗の往生、現代の日常に滲む死の実相、今昔の死と生を往還し虚と実、夢と現を果てしなく越境して、文学の無限の可能性を尽くした戦後文学の金字塔。
目次
仮往生伝試文(厠の静まり;水漿の境;命は惜しく妻も去り難し;いかゞせむと鳥部野に;いま暫くは人間に;諸行有穢の響きあり;すゞろに笑壷に;物に立たれて;去年聞きし楽の音;声まぎらはしほとゝぎす;四方に雨を見るやうに;愁ひなきにひとしく;また明後日ばかりまゐるべきよし)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
コーギー
5
済むことなど、人生にはないのです2020/05/09
shouyi.
1
読んでいくうちに、小説かエッセイかはたまた日記かと判然としなくなる。いや、現実か夢か、現在か過去さえも怪しくなっていく。とても不思議な世界だ。「老いるということは、次第に狂うことではないか。」心ひかれた一文である。2017/09/27
山がち
0
決して私の力ではわかる本なんかではない。ただ、惹き込まれる。現代の文章からするときわめて簡潔な言葉でつづられた今昔物語などの古典から、あのような思索がめぐらされることに驚きを覚える。底も見えず、不安さえ覚えてしまうこともある。それとともに、聖の言葉が恐るべきほど深いところから響いてくる。反復というが、確かに現在と過去との境のようなものが薄れてくるような感がして、現在の言葉でさえ同じような重みをもって響いてくることもある。往生とは一体何なのか。まだまだ掴みかねるが、ただ文章を味わってゆくことが実に心地よい。2013/03/07
tamioar
0
古井由吉の最高傑作では?2020/06/06