出版社内容情報
『闇の奥』の作家が放つ海洋冒険小説の最高傑作を新訳で。航海士ジムは乗り組んでいた老朽船が沈没の危機に見舞われた時、800人の乗客を船に残し船長らとボートで脱出してしまうが――。
内容説明
東洋のあちこちの港で船長番として厚い信頼を得ているジム。しかし彼には隠された暗い過去があった。一等航海士だった頃、ジムは800人の巡礼を乗せた老朽船で航海に出るが、航行中に浸水が発覚する。沈没を恐れた船長たちは乗客を船に残したままボートで脱出。混乱した状況下でジムもその脱出に加わってしまう。卑劣な行為に荷担したジムの後悔は深く、自尊心は打ち砕かれる。何よりも、こうであるはずだと思っている自己像と現実の自分との乖離を受容することができない。喪失した誇りを取り戻す機会を激しく求める彼の苦悩に、物語の語り手マーロウは時に寄り添い、時に突き放しながら、ジムを「私たちの一人」として見守り続ける。過去が暴かれそうになるたび逃避行を重ね、流れ着いたスマトラの奥地パトゥザンで、ジムはようやく伝説的指導者トゥアン・ジム(ロード・ジム)として崇められることとなるが―果たして失われた名誉は回復できるのか。海洋冒険小説の傑作、待望の新訳。
著者等紹介
コンラッド,ジョゼフ[コンラッド,ジョゼフ][Conrad,Joseph]
1857‐1924。ロシア領ポーランド生まれ。幼少期を、祖国ポーランドの独立運動に参加して逮捕された父の流刑先で過ごす。その後父母が次々に亡くなり、11歳で母方の伯父に引き取られる。16歳のとき、船乗りに憧れてポーランドを去り、フランス商船の船員となる。1878年20歳でイギリス船に移り、28歳でイギリスに帰化。英語を学びつつ世界各地を航海したこのころの見聞が、作品に大きな影響を及ぼすこととなる
柴田元幸[シバタモトユキ]
1954年、東京生まれ。東京大学卒業。現在、東京大学教授。雑誌『モンキービジネス』責任編集(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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starbro
ケイ
藤月はな(灯れ松明の火)
白のヒメ
田中