出版社内容情報
3歳で成長をやめたオスカルは、ブリキの太鼓で身を守り、金切り声でガラスを砕く。ナチス勃興期のダンツィヒを中心に、物語は猛々しくおぞましく滑稽に加速してゆく。ノーベル賞作家の代表作、新訳決定版。
内容説明
今は精神病院の住人オスカルが、ブリキの太鼓を叩きながら回想する数奇な半生。胎児のとき羊水のなかで、大きくなったら店を継がせようという父の声を聞き、そのたくらみを拒むために3歳で成長をやめることを決意したオスカルは、叫び声をあげてガラスを粉々に砕くという不思議な力を手に入れる。時は1920年代後半、所はバルト海に臨む町ダンツィヒ。ドイツ人、ポーランド人、カシューブ人など多くの民族が入り交じって暮らすこの港町は、長年にわたって近隣の国々に蹂躙されつづけてきた。台頭するヒトラー政権のもと、町が急速にナチズム一色に染められるなかで、グロテスクに歪んでいく市井の人々の心。狂気が日常となっていくプロセスを、永遠の3歳児は目の当たりにする。ナチス勃興から戦後復興の30年間、激動のポーランドを舞台に、物語は猥雑に壮大に、醜悪に崇高に、寓意と象徴に溢れためくるめくエピソードを孕みながらダイナミックに展開する。『猫と鼠』『犬の年』とあわせ「ダンツィヒ三部作」とされるノーベル賞作家代表作、待望の新訳決定版。
著者等紹介
グラス,ギュンター[グラス,ギュンター][Grass,G¨unter]
1927年、バルト海の港町ダンツィヒ(現ポーランド、グダニスク)に生まれる。15歳でヒトラー・ユーゲントに入団、17歳で最年少の対戦車兵として召集される。18歳のとき戦闘で負傷、米軍の捕虜となって収容所に送られる。その後、墓石会社などで働くかたわら美術大学で彫刻を学び、同時に詩や戯曲の創作を開始する。59年『ブリキの太鼓』で「47年グループ賞」を受け、作家としての地位を確立。99年にはノーベル文学賞を受賞し、現代ドイツ最大の作家とされている
池内紀[イケウチオサム]
1940年、兵庫県姫路市生まれ。ドイツ文学者・エッセイスト(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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