内容説明
文豪モームが選んだ心に届く100の名作。いちどは読んでおきたい傑作短編の宝庫。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
102
この6巻目の本には11の作品が収められています。副題が「20世紀の始まり」と書かれているように比較的新しい作品集です。すべて未読の作品でD.H.ロレンス以外はほとんど知らない作家でした。わたしはルイ・ペルゴーの「グーピの悲劇」という狐が主人公の物語が印象に残りました。ブルーノ・フランクの「きんおさ虫」も楽しめます。2018/06/09
藤月はな(灯れ松明の火)
78
「20世紀のはじまり」と称されたこの巻は、まさに印象的。動物視点からみた事、資本主義社会の影の部分、マスメディアによる人物のドラマ化と事実の隠蔽、偽善的な信仰心の問題、二世帯の同居問題と高齢者の思考、決して二分化できない善悪、都会と田舎、ジェネレーション・ギャップなどと、今もある事がふんだんに収録されているからだ。人間の残酷な心によって孤独にならざるを得なかった狐を描いた「グーピの悲劇」からして凹む。「菊のにおい」は突然、寡婦になった妻が夫の死に顔を見て死者と生者の隔絶性を強く、意識する場面が印象的。2019/03/20
春ドーナツ
16
早朝。喫茶店で本書を読んでいたら、つつつと鼻汁が垂れた(可哀そうな狐の話だった)。脱いだばかりのダウンを羽織る。好きだけど苦手な冬の訪れを感じた。既読はD・H・ロレンス唯一人。「チャタレイ夫人」は未書見。「どうしましょうね」と独り言。ルイ・ベルゴー、アレクサンドル・アルヌー、リング・ラードナー、アルノルト・ツヴァイク、エドナ・ファーバー、ブルーノ・フランク、ポール・モーラン、コンラッド・エイケン、ラクルテル、はあ。コンラッド・エイケンの「音もなく降る雪、秘密の雪」が好きだ。知らない作家のなんと多いことか。2018/11/04