内容説明
光と闇、現世と幻想、冥府と天上の垣をかるがると越え、自在に異界へ踏み込みながら、淡い郷愁を漂わせる唯一無比の作品世界―本巻では、幼・少年のなかにひそむ無垢とその怖さをモチーフとしたものを集録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
傘緑
20
「私が少年期を送った大正のころ…重苦しい印象の底に、切ないほど絢爛な色どりの幻影…」種村季弘/選”幼・少年” 無垢と背中合わせの子どもの残酷さ、官能と性の萌芽、鮮烈で不確かな原体験の記憶、すべてが溶けて流れて虚実の混じった遠い思い出の中へと埋められてしまう。それが成長なのかもしれない。十の短編、『泥汽車』のような哀しく愛らしい作品のある一方で、『飾燈(いりみねえしょん)』の不気味さは群を抜いている。「地獄と極楽の逆転。これも光学魔術のなせる業だろうか(種村季弘)」「キレイナトコロダカラダ。極楽ノヨウナ…」2016/10/04
redbaron
12
幻想小説になるのかしら。この人の描く女性は「陰」を色濃く映し出し、何か地獄の臭い(嗅いだことないけどw)を芬々と感じさせるのよ。なんとなくエッチな雰囲気がたまらない…本書はそこがミソではないのですがwww2015/12/15
氷沼
1
『光と闇、現世と幻想、冥府と天上の垣をかるがると越え、自在に異界へ踏み込みながら、淡い郷愁を漂わせる唯一無比の作品世界―本巻では、幼・少年のなかにひそむ無垢とその怖さをモチーフとしたものを集録』 出版社のこの一文に全てが表されていますね。 探偵小説というより、どちらかといえば幻想文学に近い気がしますね。
渋谷英男
0
長編も短編も文庫は絶版。復刊しないかな。☆42015/05/18