内容説明
未発表・未収録作品をはじめ日記、対談・座談にいたる全作品を収録。
目次
快楽主義の哲学
エロスの解剖
秘密結社の手帖
補遺(磯田光一『殉教の美学』;「廃墟の欲望」;みずからを語らず;桃源社版『新マルキ・ド・サド選集』第二巻あとがき;大岡信『眼・ことば・ヨーロッパ』;官能の美しさと苦さ;マルキ・ド・サド『新ジュスチーヌあるいは美徳の不幸』解説;アントニオ・ベッカデルリ『アルダを讃える』m´emo;鉱物・植物・動物あるいは鎌倉風物誌;快楽図書館;「鎖陰」;中原弓彦『汚れた土地』;桃源社版『新・マルキ・ド・サド選集』第三巻あとがき)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
梟をめぐる読書
5
生産の倫理からレジャー消費へと目が転じつつあった世の中に向けて快楽的消費(生の消尽)の真髄を説く『快楽主義の哲学』。澁澤の書いたものとしては特異であり孤立的な扱いを受けてきたが、編年体で読むと次著『エロスの解剖』と併せてエロトロギア(性愛学)の実践編/理論編としての狙いがはっきりと窺われる。続く『秘密結社の手帖』では澁澤のフィールドであったヨーロッパを離れて、アフリカなど辺境地域を対象とした文化人類学的な知見も。三冊の著作いずれも一九六五年内に発行されており、多産化とともに渉猟範囲の拡がりが垣間見える。2013/05/24
yogi
2
快楽主義の哲学が読みたかったので図書館にて借りた。澁澤龍彦全集を1から読む事に決めたので決意表明的な文は快楽主義とは相反する気もするが、まぁ〜楽しみにまた快楽主義を再び読みエロスの解剖に触れたい。「快楽は発見である」2014/10/10
季奈
1
快楽主義の哲学のみ再読となるが、どうも序文にある「規格品としての幸福」を蔑視する、幸福の多様性をよしとしない著者の頑迷固陋さには首を傾げる。 真に不幸なのは、規格品の幸福を享受していた者が、オーダーメイドの幸福の味を知ったときであるから、警鐘を鳴らすのは分からなくもないが、なべてそのような人々は気づくことはない。 エロスの解剖では、痙攣からの解放が快楽を齎すと書いており、タナトスとの密接な関係性が見られた。 オナンの末裔や好まれる乳房の遍歴なども面白い。 秘密結社の手帖は薔薇十字辺りまでは興味をもてた。2020/09/11
Fuck_the_Facts
0
補遺の磯田光一批判が面白かった。澁澤龍彦ってなんだかんだで短い文章のが光ってるイメージ2013/05/02
彗星讃歌
0
人生を変えるほどの衝撃。 「不幸がない」という"幸福"と「人類普遍の悦び」である"快楽"は別の物で、周りを気にせず快楽を追求せよと説く『快楽主義の哲学』は、欲望は悪しきものとして抑圧されがちな昨今の社会に対して漫然と不満を抱いていた僕の心を強く打った。『秘密結社の手帖』では、フリーメイソン、テンプル騎士団といった、ゲームや物語でその姿を見せるが全体として謎に包まれた様々な秘密結社について人間の根本的な欲求から成因を分析し、その系譜を描き出して見せた。澁澤龍彦という素晴らしい人物と出会えたことに感謝したい。2023/01/08