目次
世界悪女物語(ルクレチア・ボルジア;エリゼベエト・バートリ;ブランヴィリエ侯爵夫人;エリザベス女王;メアリ・スチュアート;カトリーヌ・ド・メディチ;マリー・アントワネット;アグリッピナ;クレオパトラ;フレデゴンドとブリュヌオー;則天武后;マグダ・ゲッベルス)
夢の宇宙誌―コスモグラフィア・ファンタスティカ(玩具について;天使について;アンドロギュヌスについて;世界の終りについて)
補遺―パブロ・ピカソ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
∃.狂茶党
22
『世界悪女物語』『夢の宇宙誌』補遺として、『パブロ・ピカソ』収録。 月報は幼馴染。 『世界悪女物語』と『パブロ・ピカソ』は、矢川澄子との共作。 『夢の宇宙誌』は澁澤龍彦のスタイルを確立した作品で、雑誌に発表された文章に手を加え、注釈などを新たに書き下ろし、参考文献も挙げている。 河出文庫に収録されてるので、澁澤を読み始めようって人におすすめ。2024/07/25
梟をめぐる読書
8
六〇年代澁澤の新たな出発点となった『夢の宇宙誌』を収めた貴重な巻。生産にも芸術にも与しない「遊び」の精神に貫かれたモノたちを一堂に集め、そのまま一本の系譜学としてしまった冒頭の一篇(「玩具について」)によって澁澤は、遂に直線的な歴史記述の方法を脱し、先達の自由な想像力の裡に遊ぶ随筆スタイルを得たと言ってよい。「玩具~」以降のエッセイや各論に付された【註】では天使、怪物、球形、アンドロギュヌス等の主題について述べられ、それに照応したヨーロッパ社会の宇宙観が浮き彫りにされる。千年紀問題を軸にした中世考も秀逸。2013/05/02
uburoi
1
今年の3月20日に『ふたりの女王』を観た。シアーシャ・ローナンがメアリを演じた。メアリ・スチュアートとエリザベス女王のふたりのことが書いてるといえば澁澤の『世界悪女物語』だ。ついでに言えばルクレチア・ボルジアは惣領『チェーザレ』理解のサブテキストにもなる。ということで読み返した。それに『夢の宇宙誌』は澁澤のその後の著作の方向性を決めた重要な位置にある書物だし、いつか読む必要があった。無論、遅きに失していたのだが。2019/08/06
ノメ
0
幅広い知識に基づく作品、さすが澁澤龍彦である。2016/09/05
季奈
0
夢の宇宙誌で、玩具としての人形と絡めてホムンクルスと呼ばれる人工的人間、一つの解釈としてすべての金属を黄金へと変換する機能を持つ言わば万能の象徴を取り上げた。 次の項での天使の性と併せて、二つのテーマはアンドロギュヌスについて書く上で不可欠なものだったのだろう。 一般的にアンドロギュヌスは完全なる存在としてのモチーフとされるのに対し、ロートレアモンは欠けた者共に囲まれた両性具有者の悲嘆を書き、大江健三郎は大前提を覆すが如く性(生)の選択の出発点として位置付けた点は一つの象徴における解釈の相違が垣間見える。2019/10/31