出版社内容情報
【目次】
内容説明
「我々は誰なのか」「ロシアとは何なのか」―ソ連崩壊を契機として、ロシアのアイデンティティを問い直す思想潮流「ネオ・ユーラシア主義」が立ち現れた。ロシア・ウクライナ戦争の陰には、プーチンに強い霊感を与えたこのイデオロギーの存在がある…という見立ては正しいのか?ドゥーギンをはじめ、多様な論客が名を連ねる思想の実相とは?見取り図を第一人者が描出する。
目次
第一章 ネオ・ユーラシア主義誕生の背景(古典的ユーラシア主義;ユーラシア主義リヴァイヴァル ほか)
第二章 最右翼―アレクサンドル・ドゥーギン(ドゥーギンとは誰か;ドゥーギンのネオ・ユーラシア主義 ほか)
第三章 思想界のインフルエンサー―アレクサンドル・パナーリン(パナーリンとは誰か;パナーリンのネオ・ユーラシア主義)
第四章 主流化―実務家たち(アメリカへの対抗―イスラームとの共存;中国研究者たち―特にミハイル・チタレンコ ほか)
第五章 政界・思想潮流における現在地(ネオ・ユーラシア主義の共通項と伸縮性;ロシア・ウクライナ戦争のイデオロギー)
著者等紹介
浜由樹子[ハマユキコ]
東京都立大学法学部教授。津田塾大学大学院後期博士課程単位修得後退学、博士(国際関係学)。専門は国際政治学、国際関係史、ロシア地域研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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無重力蜜柑
12
良著。「ユーラシア」はソ連崩壊後のロシアのアイデンティティを規定する概念だ。それはヨーロッパでありアジアでもある(あるいはどちらでもない)ロシアという意味内容を持ち、大抵は西欧や米国への政治的、経済的、理念的対抗関係を念頭に置いている。この発想は大戦間期の亡命ロシア人の思想(古典的ユーラシア主義)に淵源し、ソ連では政治的統制のもとで忘却されていたそれが新生ロシアで復活したのがネオ・ユーラシア主義である。ウクライナ侵攻以後は、プーチン政権の右翼イデオロギーの基盤として西側ではしばし言及される。2025/07/02