出版社内容情報
渋井 哲也[シブイ テツヤ]
著・文・その他
内容説明
バブル崩壊から自殺者3万人時代、ネット心中、子ども・若者の自殺、女性の自殺、コロナ禍の中の自殺、理由なき自殺…どのように語られてきたのか?ネット時代、SNS時代の到来は何をもたらしたのか?自殺数や自殺者の実態、自殺対策はどのように変化してきたのか?長年、「生きづらさ」に寄り添ってきたジャーナリストが、当事者や遺族、関係者への取材を通して描く、この国のリアル。
目次
第1章 バブル経済崩壊から自殺対策へ
第2章 インターネット時代の自殺
第3章 効果的な自殺対策はあるか
第4章 子ども・若者の自殺
第5章 女性の自殺
第6章 理由なき自殺
著者等紹介
渋井哲也[シブイテツヤ]
1969年、栃木県生まれ。ジャーナリスト、中央大学文学部講師。東洋大学大学院文学研究科教育学専攻博士前期課程修了。「長野日報」の記者を経てフリーに。ネット事件、自殺問題、若者の生きづらさなどを中心に取材(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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こばまり
56
バブル崩壊以降の未遂者既遂者、及びその家族らの談話が多数紹介されており、四半世紀に亘りこのテーマで取材を続けてきた著者ならでは。学校等で行われた不適切な指導をきっかけに自死に至るいわゆる指導死の事例に憤りを隠せない。2022/09/14
原玉幸子
18
デゥルケーム『自殺論』には社会学的な解析手法に感心し、末井昭『自殺』には不謹慎ながらも優しく受け止める感情もあったのですが、本書はルポだけに事例がバンバン出て来て気持ちが沈むだけでした(何でこの本を選んだんだろう?)。アカの他人でも、子供と若者の死、況してや自殺の報には接したくなく、ニュースを見聞きするだけで辛いです。経済的事由、ツールとしてのインターネット、子ども・若者(「指導死」は教育者の質の問題では)、女性、アノミー的自殺…… ルポは分かったが、私はどうしたらいいのか。(◎2023年・春)2023/02/04
えいなえいな
10
自殺に至る原因というのは虐待や貧困など色々とあるとは思うのですが、直接的に自殺のトリガーとなるものはもっと漠然としたもののように思います。本書のタイトルにもあるような生きづらさというのもその一つではないでしょうか。何というか、もうどうしていいか分からない、どうにでもなれというような感情が高まってしまうんじゃないかと思います。自分自身そんなふうに思う時があって、きっとこういう時にふらっと死んじゃうんじゃないかと思ってしまいます。もちろん程度があるので、僕ごときが気持ちが分かるなんて言えないんですけど。2022/09/21
まろまろ
6
著者自身も自殺を考えた時期があるという。自分が感じている「自分」と学校で求められている「自分」とのギャップからだ。近くに交通死亡事故多発地帯があることから「死」を考えたとか。人それぞれに感覚が異なる。幼い頃から「なんとなく死にたい」と思っていた人、借金をやっと返済した後に自殺した人、原因不明のまま逝った人等。残された者のつらさを思うといたたまれない。学校のいじめでいえばスクールカウンセラーの常勤を義務化する等少しでも心の声をすくいあげてほしい。2023/02/21
てくてく
6
ルポというだけあって、自殺分析というよりは自殺の事例集(取材対象で亡くなった人が40人)という感じで、どこでどのような介入が行われたら結末は変わったのか、あるいはそれでも変わらなかったかなどと、気が滅入る本だった。ただ、保険金目的などの明確な自殺があるケースの他、自分の存在を無かったことにしたい、眠ってもう目覚めたくない、このつらさをやりすごしたいといった、自殺が究極の目的だったのかどうかわからないケースもあって、自殺予防対策は難しいのだろうなと思った。2023/02/14