出版社内容情報
どうすれば「みずから学ぶ」環境はつくれるのか? 教え方ではなく、子どもの学びの深め方からいま必要な教育の本質を考える。
内容説明
子どもがみずから学ぶ意欲を持ってほしい、けれども本人のペースに任せていては、社会の動きに乗り遅れるのではないか。「子どもの気持ちが動くの待つ」という“理想”と「学校の成績などの評価を気にしてしまう」という“現実”の間で、つい「教えこむ」ことに力を注ぎそうになるときには、改めて教育の本質を問い直してみましょう。五〇年以上、保育・教育に関わってきた教育学者が語る、一番大切なこと。
目次
第1章 なぜ、いま教育がいきづまっているのか
第2章 「教え」の教育から「学び」の教育へ
第3章 「学び」と「教養」
第4章 「学び」は体験から始まる
第5章 「学び」を支えるための教育
第6章 「学び」は続くよ、どこまでも
著者等紹介
汐見稔幸[シオミトシユキ]
1947年、大阪府生まれ。専門は、教育学、保育学、育児学。東京大学名誉教授、白梅学園大学名誉学長。保育者による交流雑誌『エデュカーレ』の責任編集や、エコビレッジ「ぐうたら村」の運営など、保育・教育関係者が学び合える公共の場づくりにも力を入れている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
katoyann
24
地球環境の破壊が進み、共生が求められるこれからの社会に必要な学びについて論じている。物事を分類ないし分節化する近代の知識に対し、自然と身体が融合するような感性の所作としての知識がこれからは大切だという。いわゆるホリスティック教育である。 18万人が不登校状態にある学校教育は、系統的知識の伝授にこだわり、子どもの主体的な問いに応えられるようなプログラムを提供できない。グローバルな規模で環境共生が求められる時代にあっては、詰め込み型の知識を反復する力ではなく、主体的に社会に関わる力が必要だという。良書なり。2021/12/25
はる坊
18
教える側の視点に立つのではなく、学ぶ側の視点に立つ。 これからは学びが重要と説く。 すごく大切なことがたくさん書かれていたけど、きちんと整理出来てないので、再読予定。2021/08/22
shimashimaon
8
Voicyで「のもきょう」さんの配信を聴いて読むことにしました。「不登校」を「問題」にすること自体ナンセンスだと理解しました。「学び」は主体性や積極性が重視されるだけでなく、著者は受け身passiveであることから学びは始まると言います。それは消極的な態度ではなく、passion(感情の他にイエスの受難という意味がある)と語源が同じであることから、困難から逃げるのでなく受け止めるというポジティブな態度だと説明します。「語義」の暗記ではなく「意味」の体験を。私もその体験に一役貢献できないかなと考えています。2023/12/09
ぷりん
7
最近学校の在り方について疑問を持つ。学校が、子どもたちが本当に学びたいと願うことにぐっと集中できる場になればいいのにと思う。だけど、目の前の子どもたちは教えてくれるのを待つ姿や、すでに習い事で教えてもらったことを再生する姿ばかり。自分から手を出して楽しむというより、楽しませてもらうのを待つお客さんのよう…。なんとかしたいと思うが、こちらもやらなければならないことをこなしていると、子どもたちの自由な時間が少なくなる。実現方法を考えていかないとな…。2021/08/16
はる
7
「すくすく子育て」で子どもたちと遊ぶときの温かな眼差しを目にしてからずっと好感を持っていました。書店の新書コーナーであ、汐見先生だ!と思い購入。内容は他の教育者の方の本でも読んだことがあるものも多いですが、語義meaningの上に自身の経験に基づく意味senseが重なることで学びが深まるとはその通りだなと思った。様々な問題に当事者意識を持って向き合うには、自身の経験から我が事のように想像できなければならない。2021/08/16