出版社内容情報
日本社会の変貌と橋本治による「この20年」における語りが交差する、貴重な単行本未収録インタビュー集成。
内容説明
「身だしなみの教養」を拒絶し、ひたすら自分の頭で考え続けた橋本治が語る、この国の成り立ちと行く末とは!?橋本治が二〇〇〇年代に残した貴重なインタビューから、本当の教養とは何かを学ぶ!高橋源一郎さんの書き下ろしエッセイを収録!
目次
第1章 どこまでみんなバカになるのか
第2章 「読書しない」という方法
第3章 「文学」が死滅しても「小説」があればいいじゃないか
第4章 「アタマ」を失くした日本のゆくえ
第5章 「年をとるってやっぱりわからない」が正しい
第6章 「保留状態」を生きる
超講義録 ハシモト流「教育論・仕事論」(日本の学校教育はなぜ身に沁みないのか;必要なのは『教科書』ではなく『副読本』である;会社は『律令国家』と同じ仕組みで動いている)
著者等紹介
橋本治[ハシモトオサム]
1948年東京生まれ。東京大学文学部卒。77年『桃尻娘』で小説現代新人賞佳作を受賞しデビュー。小説・評論・古典の現代語訳・イラストなど幅広い分野で活躍。96年『宗教なんかこわくない!』で新潮学芸賞、2002年『「三島由紀夫」とはなにものだったのか』で小林秀雄賞、『草薙の剣』で野間文芸賞を受賞。2019年逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
pohcho
52
インタビュー集。最初と最後に高橋源一郎さんの文章(とめてくれるなおっかさん、東大のポスターの話がめちゃかっこいい)昔は漫画を読んでたら頭がバカになると言われたものだけど、それがケータイになり、今やLINEでスタンプを送るだけ。そんなことに膨大な時間を費やしている私たち。自分も含め日本(世界も?)がどんどんイージーに、物事を深く考えない方向にいっているというのは日々実感する。社会、教養、読書、老いなどいろんなテーマが詰め込まれていて感想をまとめるのが難しいが、もっともっと橋本さんの言葉を聞きたいなと思った。2020/06/25
aloha0307
29
橋本治さんは、どのような質問、話の方向づけをされても自論旨をブレさせないで、聞き手と話を進めていることがよく分かります。そしてご自身の”実感”を手放さない。民主主義の弊害;建設的でなく、否定的意見ばかり...なるほど 誰もが意見を言えるのだからね(匿名でも)。自分なりに体系立てることが、教養 その柱は一本ではなくて多数でもいいそうです(その中に”いいもの”を隠してる柱がいい)。 2020/07/19
Tenouji
24
橋本氏の思考は、ビジュアル的で身体的なもの、かつ、言語化も可能という稀有なものなんだね。多くを個人の実感として話されるので、共感できるところと、共感できないところがあるけど、決して他人事ではなく説得力がある。私は、ある意味、総合芸術的だなと感じて、自分の思考を、ブツブツ言って言語化するあたりは、岡本太郎氏や落合陽一氏にどこか通じるところがあるなと感じるんだね。ちなみにタイトルはツリですw。2020/07/18
大先生
10
日本人は1970年代、関西からバカになった。お笑い芸人にバカだといじられて喜ぶというすてきな風潮ができた。その最終仕上げは島田紳助のつくった「おバカブーム」。そして、最近は「バカの最終局面に入った時代」。右傾化というよりも、バカになってるということ…。という具合に橋本節炸裂です。他の部分も、分かるような分からないような不思議な世界観が大展開されています(笑)。とりあえず、よくわからないけど読んでみたくなる、そんな本でした。2021/11/23
Inzaghico
8
へんちくりんで、はみ出ていて、とんがっているようで、意外とまともな人を失ったんだな、とあらためて思う。 あらためて、バブルの罪は大きいと実感する。橋本がいうように、当時の大学生によってDCブランドに火がつき、丸井メンズ館に男子大学生が列をなした、という時代だった。わたしには縁遠い出来事だったけれど、肌感覚でそれを知っているか知らないか、というのは意外と人生に影響してくると思うのだ。2020/06/27