出版社内容情報
童話「シンデレラ」は、古代エジプトで誕生した? 地域、時代を超えた伝搬の謎を太古の人類大移動にまで遡って解明する知的な冒険。
内容説明
世界でもっとも有名な童話のひとつ『シンデレラ』は、実は古代エジプトから日本まで、時代を超えて、ヨーロッパのみならずアジア、アフリカなど世界のほとんどの地域に存在する。不幸な娘が継母にいじめられ、援助者を得て、花嫁テストを通過し、幸せになるという構造をもつシンデレラ譚は、なぜ世界規模で伝播したのか。その謎を、太古の人類大移動にまで遡りながら、歴史学、神話学、文化人類学など多角的なアプローチで解明する知的な冒険。
目次
第1章 シンデレラ譚の基本構造
第2章 古代エジプトからヨーロッパルートのシンデレラ譚
第3章 中近東からアジアルートのシンデレラ譚
第4章 変貌するシンデレラ類話とその連鎖
第5章 ホモ・サピエンスの大移動と神話・民話の伝播
第6章 シンデレラ譚の伝播とメディア
終章 なぜシンデレラ譚は人気があるのか
著者等紹介
浜本隆志[ハマモトタカシ]
1944年、香川県生まれ。関西大学名誉教授。ヴァイマル古典文学研究所、ジーゲン大学留学。専攻はヨーロッパ文化論、比較文化論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
108
シャルル・ペローが採話したものが広まったかと思いきや、この本を読んでよくまあ調べたものだという感想が一番目でした。さらにはエジプトやかなり昔の頃までさまざまな起源をたどっていることです。ひとつの童話をこのように調べるのも楽しいだろうなという気がしました。2017/09/12
Rieko Ito
3
シンデレラ譚が世界に広がった経緯を、人類史的にたどっている。面白い。古代エジプトから、ヨーロッパ、中東、アジアと共通する物語が広がっているのが驚き。フェミニズムの立場からは否定的に捉えられがちなシンデレラの物語だが、女性が結婚によって身分が上昇することは、本人の夢だけではなく家や部族にとって重要なことであったという指摘は、なるほどと思う。さほど量のある本ではないのに世界のシンデレラ譚に字数をかなり割いているので、考察は幾分深みにかけるのが残念。 2024/11/08
Hiroki Nishizumi
3
面白かった。シンデレラ譚に無数のバージョンがあるとは知らなかった。そしてそれぞれが持つ背景も興味深いものがあった。この手の本は好きだなぁ2020/10/20
zikisuzuki
3
シンデレラの何を自分は知っていたのだろうとこの本を読んで自戒することしきり。自分の知っていたそれのベースはグリム童話だと思っていたら、フランスのペローの「サンドリヨン」の方だった。シンデレラが灰かむりという意味も知らなかったし。世界中にみられる類話の比較も面白かった。しかし、アフリカからの人類の大移動と聖書にまで話を広げているのにはちょと戴けない感じがした。まぁ、それにしてもとても古い話で、もともと死の色の濃い話だったんだねぇ。2017/07/21
kenitirokikuti
3
シンデレラ譚の最も古いものは、古代エジプトのもの。ロドピス(薔薇ほ頬の金髪女性、の意味)と言われたマケドニア出身のドーリカの物語。ヘロドトス版では、ピラミッドはロドピスが作られたという噂がある(ヘロドトスは否定)。奴隷ないし娼婦だったロドピスを身請けしたのは、サッフォーの兄カラクソスとされている。2017/06/17