内容説明
知覚された事象とは、現実そのものというわけではない。末梢感覚受容器で得られた情報は、中枢で環境、経験、学習を加味して、適切に、あるいは不適切に修飾されている。つまり我々の知覚は創造されている。無重力のような特殊な環境にあるとき、あるいは、とぎすまされた熟練職人の技などを例に、経験、学習がいったいどのように知覚に影響するのか、芸術と知覚はどのような関係にあるのかなど、これまでほとんど語られなかったその複雑なメカニズムの正体を探る。
目次
1 知覚は環境抜きで成立するのか
2 重力は生物の知覚と行動を支配する
3 遠い記憶と新しい知覚
4 とぎすまされた職人の知覚
5 ブラインド・スポットと伝統芸術の奇妙な関係
6 ひと筋縄ではゆかない美醜の知覚
7 奥行きを知覚しているという確信はどこから来るのか
8 動く目で動くものを見ると