内容説明
知覚された事象とは、現実そのものというわけではない。末梢感覚受容器で得られた情報は、中枢で環境、経験、学習を加味して、適切に、あるいは不適切に修飾されている。つまり我々の知覚は創造されている。無重力のような特殊な環境にあるとき、あるいは、とぎすまされた熟練職人の技などを例に、経験、学習がいったいどのように知覚に影響するのか、芸術と知覚はどのような関係にあるのかなど、これまでほとんど語られなかったその複雑なメカニズムの正体を探る。
目次
1 知覚は環境抜きで成立するのか
2 重力は生物の知覚と行動を支配する
3 遠い記憶と新しい知覚
4 とぎすまされた職人の知覚
5 ブラインド・スポットと伝統芸術の奇妙な関係
6 ひと筋縄ではゆかない美醜の知覚
7 奥行きを知覚しているという確信はどこから来るのか
8 動く目で動くものを見ると
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mope
2
感覚というのは感覚器から送られてきた情報をそのまま知覚しているのではなく、環境・学習・経験などによって中枢系に作り変えられている。また、感覚器は時として運動器という側面も持っている。筆者は視覚の研究者なのだが、「動く体に載った、動く眼球でものを見ている私たちが、果たして客観的に外界を眺められるのか。それは天動説だ。」というような事を言っていて、なるほどと思った。また読み返してみたい。2018/06/20
ととむ
0
「俺が」どーしたとか「有名な誰が」なんだとか、そんなこと求めてないの。ライトな知識がほしいだけなの。俺様自慢はブログとかで垂れ流してくれ。久しぶりに本気でムカつく本だった。ゴミ。2012/04/09
yako
0
知的好奇心を刺激される本だった。同じ煙突が見えているはずなのに、陰影のつき方を他人に指摘されることによって初めてその影を「知覚」できた、という話が面白かった。2012/03/18