出版社内容情報
孤独な少女の虚実交えた語りは、実らぬ愛、激しい独占欲、嫉妬、裏切りなど烈々たる感情の渦の中で遂には狂気へと一気に燃えあがる。
エルサ・モランテ[モランテ,E]
著・文・その他
北代 美和子[キタダイ ミワコ]
翻訳
内容説明
19世紀風のめくるめく愛の大伽藍!孤独な少女の虚実交えた語りはつづき、実らぬ愛、独占欲、嫉妬、背信など烈々たる感情の炎が遂には狂気へと突き進んでいく。
著者等紹介
モランテ,エルサ[モランテ,エルサ] [Morante,Elsa]
1912‐1985。ローマ生まれ。幼いうちから童話や詩の創作を始め、10代から雑誌などに作品を発表するようになる。1941年、短編集『秘密の遊び』で作家デビュー。ローマがドイツ軍に占領された43年には夫アルベルト・モラヴィアと地方の山村に避難、44年に解放後のローマにもどり、ふたたび執筆を開始する。48年、『嘘と魔法』でヴィアレッジョ賞、57年『アルトゥーロの島』でストレーガ賞を受賞し、作家としての地位を確立。戦後イタリア最大の作家の一人とされている
北代美和子[キタダイミワコ]
1953年、東京生まれ。上智大学外国語学部フランス語科卒業。同大学院外国語学研究科言語学専攻修士課程修了。東京外国語大学講師(非常勤)。日本通訳翻訳学会理事(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヘラジカ
36
生ける屍たちの狂気の物語。なんて密度、なんて熱量、そしてなんと淀みのないことか。醜き人間たちのどぎつい感情の洪水は押し寄せては読むものを圧倒する。素晴らしく饒舌な語りによって、満たされぬ者の情念が渦巻く様を脳内で否応無しに再現させられてしまうのだ。読み続けていると冷や汗がでるくらいに濃厚な読書。登場人物たちの歪んだ結びつき、エドアルドを頂点とした愛と憎しみのピラミッド、エリーザの語る区別不能な嘘と真実。とても一読では消化しきれない。悪夢のような読書だった。2019/01/06
駒子
4
この小説に善人はいない。主人公が敬愛し、讃える母アンナの悪辣と言いたくなるほどの自尊心の高さ、フランチェスコの貧しさを隠す嘘、そして我らがエドアルドの傍若無人な振る舞いの数々。彼らに驚きこそすれど、嫌いにはなれないのは語り手の妙か。語りが魅力的でずんずんと物語の深いところまではまりこんでいく。好き。入院中、夢中になるのにぴったりな本だった。2019/10/27
Mark.jr
3
テーマはズバリ「愛の不毛」。まず、貧乏から成り上がろうとした女とそれに惚れたが故に没落した男。その二人から生まれた娘と、その娘が思慕するプレイボーイのいとこ、さらに娘に恋するいとこの親友とその親友を慕う女性と昼ドラも真っ青の愛憎劇ですが、軽やかな文体でグイグイ読ませてきます。相当な力作であり、間違いなく著者を代表する作品でしょう。2019/06/16
やくも
1
孫娘エリーザが祖母の結婚から母の一生、自身の現在までを語る、三代にわたる家族の物語。800ページ超かつ2段組の大長編に、読みとおせるか自信をもてないままページを開いたが、登場人物たちの掛け引きと成り行きと運命に導かれ、先を急かすように読み進んだ。2019/01/27
アシモ
0
ヘビーな読書体験でした。虚栄心の凄さは日本人には理解しづらい。2019/08/26