内容説明
明治維新を彩った函館・五稜郭から、革命の歌声響く激動のパリへ…コック修業に励む若い二人の愛は世界史の渦中を駆け抜ける。時代と愛の風景を探る女性ロマン・シリーズ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まーみーよー
22
良書。濃密な読書体験だった。二段組400P強は今なら文庫4冊分くらい?維新前夜の箱館から始まる物語は普仏戦争で負けた仏、パリで終盤を迎える。箱館戦争と普仏戦争の動乱の中で生きる二人の男女の恋愛物語だが、日仏どちらでも、市井の人々が支配階級の起こした争いに巻き込まれる虚しさが描かれている。作者は戊辰戦争について「このいくさは結局は、新しいものへの意地と、過ぎ去ったものへの郷愁でしかないのだよ。民百姓のためのたたかいではない。」と語らせている。新島襄、ブリュネ、高松凌雲等々の実在人物が多数出てくる。 2021/09/12
湖都
14
江戸末期の箱館で出会った孤児の召使・おゆきと貧乏直参の息子・準之助が、動乱の時代と箱館戦争を経て結ばれ、海を越えたパリで普仏戦争とパリコミューンにも出くわす物語。歴史上有名な人物とも多数行き来があり、函館の有名な五島軒をモデルにもしていて、なんとも盛り沢山。思うことはいっぱいあったのだけど特に記憶に残ったのが、平和な江戸時代において名ばかりであった侍達が、幕末になって急に将軍を守る為に目覚めたこと。それが良いことかはわからないけど、線香花火の最後の輝きのようだった。パリコミューンとの違いも明解だったなぁ。2021/11/24
hisayparrish
1
函館を舞台にした小説。武田斐三郎、土方歳三、大鳥圭介、新島襄,ブリュネなど、歴史上の人物も数多く登場し,戊辰戦争更には普仏戦争といった当時の激動する時代の流れの中で,主人公のおゆきと準之助の心の結びつきに感動させられる。五島軒がモデルとされる。以前この作者の石狩平野を読んだときと同様,深い感銘を覚えた作品であった。2016/10/23