感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みつ
13
昨夏フローベールの『サラムボー』を読んだことで、横光がそこから影響を受けて書いたとされる『日輪』を再読するために手に取ったもの。古代を舞台に、主人公卑弥呼が一種の「ファム・ファタール」として多くの男たちを殺戮に至らしめる筋立ては、確かに影響の大きさを感じさせる。会話における男女の区別を完全に拭い去るなど極めて斬新な文体で綴られたこの作品以外は、すべて短編。いずれも纏まりがなく、それが主人公たちのささくれ立った心の状態を露わにする。『無礼な街』(全集の旧字体は新字体で表記。以下同じ)の会話と心理描写(続く)2022/02/11