内容説明
橋本治の正しい挑発、過激なテオレマ―。第3巻はいよいよ文学篇。文学をオッサンから取りもどせ!
目次
『Yの悲劇』評
そしてみんな引っくり返って―私とアガサ・クリスティー
ハイホーってなんだろう―または詠嘆するアメリカ人
ロマンチックをしたかった!?―丸谷才一の『忠臣蔵とは何か』
インテリの裏本―山崎豊子
知性を持ってしまったヒーロー
熱
孤島の小林少年―江戸川乱歩とグロテスク考
山田風太郎『八犬伝』
後ろの偉人伝―『人間臨終図鑑』評
解説―山田風太郎『戦中派不戦日記』
雨戸をしめて―久生十蘭について
遁走詞章
どうしてあなたには自分の読みたい本が見つからないのか?
講談とはなにか
理性の時代に―解説・有吉佐和子『母子変容』
両刃の剣―時代小説のおもしろさ、つまらなさ
『現代の青春小説』
桃尻余禄・いまだ時を翔けない少女
僕が青春小説をやるならば
中年の本
雑誌の時代
雑誌の友―「小説現代」特別付録
劇的なる純文学
紺紺と
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
amanon
4
こんな独自の視点から、膨大な書物を読み解き、論じる人ってもう二度と現れないだろうな…と思うことしきり。そしてこれだけの本について論じながらも、大学に入るまで本を読んでいなかった、読書はあまり好きでなかった的なことを曰うのだから、妙な小憎らしさを覚えてしまう(笑)。それと同時に、もっともっと多くの小説について論じたものを読みたかったな…と今となっては無い物ねだりなことを思ってしまう。個人的には、「青春小説」という位置付けで、北杜夫の『楡家』を取り上げているのが驚きなのと同時に嬉しかった。十蘭面白そう。2022/04/17
eckhart88
0
B:素晴らしい切れ味。論理のアクロバット。着想の独自さ(それは多分に独断といってもよいものと思うが)から転々たる文辞によってテーマが見事に落着する様は名人芸というほかない。ある意味批評なり書評なりは自分の偏見や独断丸出しの方が面白いという話もあって、そしてそれに妙な説得力を持たせることのできる語り口の截然とした味わいは見事。しかし小手先だけでは決してなく、その実、内容も充満している。主題は意想外の論理に支えられて、確固として、不思議と読んでいて心地よいのだ。乱歩、十蘭が特に良い。雑誌評もくだらなくて好きだ2025/03/23