内容説明
私がモノ心ついたとき、日本は「大東亜戦争」の渦中にあった。無謀で悲惨な結果を紹いたこの戦争は完敗に終わったが、戦後昭和天皇は、終始平和論者であり、常に戦争に反対しつづけたという戦後神話が生まれた。だが、この天皇擁護のための戦後神話は全く事実と異る。事家はどうであったのかの一端を本書は追求したつもりだ。
目次
第1章 昭和天皇の虚像と実像(「象徴」と「人間」との間;マスコミの中の天皇;作られた「人間天皇」語録)
第2章 「難波大助」は生きている―皇太子裕仁を狙撃した大正の反逆児
第3章 ハワイの「天皇陛下万歳!」―日系アメリカ人の天皇観
第4章 戦後政治と昭和天皇
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
James Hayashi
28
出だしはトリビア的な感じで、天皇の普段の暮らしを見せてくれる。電話に応えることもなければ、姓もない。御料牧場で鳥獣の飼育。27人の調理人や理容師などへ〜と感嘆。しかし中途からあまり他書では見られない戦争責任や天皇論が展開されている。著者の親戚を戦争で亡くし、本人も戦後の幼少期の体験が影響している模様。2019/04/04
nobody
11
大多数に価値がある“とされる”ものが利益を生み、その価値の真偽は二の次である。例えば我々が真札と思っている日本銀行券は実は偽札である(浅田彰「本物の日本銀行券は贋物だった」参照)。皆が価値があると思い込んでいるから通用しているだけで、国が崩壊した瞬間紙切れと化す。共同幻想に連ならないと人は安泰に生きていけない。結局はそういうことだ。あとはそれが日本人特有なのか否か。断ずれば天皇批判は損なのだ。「“利口な人”は、『天皇(制)』に触れないのである」。戦争は悲惨だった。庶民の総括は「二度と戦争のない世の中に」。2018/09/09
shigakushi
0
※単行本(三一書房)2001/08/24