内容説明
古代から、ほとんど全世界の王朝に存在していた宦官は、なぜ中国で異例の発達をとげ、強大な勢力集団となったのか?そもそも宦官とは、宦官制度とは何か?英雄豪傑美女たちが権謀術策をこらして争った王朝交代劇を、宮廷の深奥部からあやつった特異な男たちの実像―その発生から実態、生態、歴史、終焉までのすべてを描き出し、秘められた中国史の内幕にせまる、歴史ノンフィクション。
目次
奇怪醜悪なその実態
中国史に投げた影
宮廷での生活
宦官の終焉
濁中の光彩・蔡倫と鄭和
歴史を騒がせた宦官―悪徳宦官列伝(皇帝を“馬鹿”にした趙高;国を手中に収めた五侯・十常侍;天子の悪業教師・劉瑾;西太后の情夫?季蓮英;最後の大物宦官・小徳張)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
とんこ
17
再読。古代中国の宮廷で国を動かし腐敗させた宦官。その成り立ちや生活、エピソード。とても読みやすくて面白い。宦官のなり方、具体的な手術方法の記述は、私にはついてないのにお股が痛くなる恐ろしさ…そんな目にあってなぜ宦官になるのか、なぜ腐敗していくのかがわかりやすい。なんか人を人とも思わずに踏みつけ、権力者が贅の限りを尽くす中国宮廷の歪で爛熟した雰囲気が印象に残る。2022/06/21
つちのこ
5
河出文庫版1989年刊。知らない世界を覗き見することは読書の最高の楽しみ。この作品はまさにそれに匹敵する一冊だった。江戸時代の日本でいえば、チョロチョロと動く茶坊主くらいの存在だと思っていた宦官が、中国の王朝政治を陰で操る一方の主役であったことにまず驚く。脈々と続いたその制度の末裔が1945年まで存在したという事実にも再度驚いた。話は逸れるが、纏足の風習が収束したのもほぼ同じ頃だといわれている。1989/12/20
コットン
2
宦官って日本で言えばその役割は「太鼓もち」なのかと思っていましたが、影の皇帝だったんですね。ほとんどの宦官は悪徳邪悪で学問に秀でた者はいないが、「蔡倫」と言う人は紙を改良して大量生産の技術開発者だったそうです。2012/05/13
ashigaru99
2
中国のどでかい宮廷を回す上で必要でもあるが同時に様々な悪弊もつきまとう宦官について書かれた本。すごく面白い。清の宮廷が阿片と賭博が盛んだったことに興味を持った。ものすごく退廃的だったんだろうね・・・2011/05/29
のん818
2
中国の、腹黒い宦官ばかりではなく紙を発明した蔡倫も後漢の宦官であったりと、実際に有能な宦官も多くいたという、とても興味深い1冊2011/04/20