内容説明
麻薬中毒者リーは、「触れあい」を求めて近づいた青年アラートンとともに究極のドラッグを探して、南米へと旅に出る…笑いに満ちた語り、ときに漂う喪失感。デビュー直後に執筆されながらも長らく封印され、発表後には大いに物議をかもした、せつない恋愛を描く自伝的小説。三十七年ぶりの改訳版(旧邦題「おかま」)。
著者等紹介
バロウズ,ウィリアム S.[バロウズ,ウィリアムS.] [Burroughs,William S.]
1914年、アメリカ合衆国ミズーリ州生まれ。作家。ハーバード大学卒業後、定職につかずにアメリカ、ヨーロッパ、スペインの各地に滞在。53年、麻薬中毒者を描いた自伝的小説『ジャンキー』でデビュー。59年に発表した『裸のランチ』は世界的な反響を呼び、ビートニク文学の代表作となる。97年、逝去
山形浩生[ヤマガタヒロオ]
1964年、東京都生まれ。評論家、翻訳家
柳下毅一郎[ヤナシタキイチロウ]
1963年、大阪府生まれ。特殊翻訳家、映画評論家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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junne
1
アメリカ人のゲイがメキシコに逃げてきて(警察から)、現地の男の子を囲おうとするんだけど身体は許してくれるものの心は許してくれなくて結局逃げられて切ない思いをする、というあらすじだけならあんま新鮮味はない。それこそプルーストのシャルリュスのくだりのほうが面白い。とはいえ当時のメキシコシティのヤバい界隈の描写は面白いし、唐突になんか内臓的な妄想が出てくるあたりはバロウズだなあと思う。あと、当時のバロウズって35くらいなので、ダニエル・クレイグをキャスティングするというのは明らかに年齢差を強調する意図があるよね2025/04/22
biwacovic
1
その昔ペヨトル工房から出ていた『おかま』が、映画化を機に改題されて文庫化。情けなく、欲望丸出しで、すべてが切ない。「パナマ、世界の交差点では、人はただ歳をとるだけの肉塊だ。自分の身体をそこから動かすにはパンナムやKLMと取り引きしなくてはならない。さもないと、肉体はそこにいつまでも残って、トタン屋根の下、蒸し暑い熱の中で腐っていく」・・・若きバロウズが感情をそのままに曝け出す文章がたまらなく良い。2025/04/19
斜道
0
映画を観る前に原作をと思い。薬物中毒の中年ゲイが大学生に手を出そうとするも何度も冷たく拒絶されるお話。自分のことをパパ呼びしたり優しくしてとお願いしたり、リーがなんだか憐れに思えてくる。アラートンの反応に過度に絶望する、麻薬中毒ゆえの描写も随所に見られる。正直理解できかねるところも多々あったので、映画で理解を深めたい。2025/04/29
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