内容説明
麻薬中毒者リーは、「触れあい」を求めて近づいた青年アラートンとともに究極のドラッグを探して、南米へと旅に出る…笑いに満ちた語り、ときに漂う喪失感。デビュー直後に執筆されながらも長らく封印され、発表後には大いに物議をかもした、せつない恋愛を描く自伝的小説。三十七年ぶりの改訳版(旧邦題「おかま」)。
著者等紹介
バロウズ,ウィリアム S.[バロウズ,ウィリアムS.] [Burroughs,William S.]
1914年、アメリカ合衆国ミズーリ州生まれ。作家。ハーバード大学卒業後、定職につかずにアメリカ、ヨーロッパ、スペインの各地に滞在。53年、麻薬中毒者を描いた自伝的小説『ジャンキー』でデビュー。59年に発表した『裸のランチ』は世界的な反響を呼び、ビートニク文学の代表作となる。97年、逝去
山形浩生[ヤマガタヒロオ]
1964年、東京都生まれ。評論家、翻訳家
柳下毅一郎[ヤナシタキイチロウ]
1963年、大阪府生まれ。特殊翻訳家、映画評論家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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shimuratakeda
5
あはは。何度読んでもよくわかんない。けど、おっかしい~。2025/05/17
die_Stimme
4
映画が良かったんで読んでみた。コッター博士については、ジャングルのなかで暮らす研究者夫婦の夫の方が原作ではコッター博士。映画では妻の方がコッター博士と呼ばれているので、そこは大きな違いではあった。あとは、映画では基本的にリーの一人称と言えるが原作は客観視点で、寡黙なユージーンのモノローグや直接的な言葉でリーを拒否する場面もある。「君と話がしたい 言葉なしで」は映画のとても印象的なフレーズだったが、たぶん原作にそれに相当するものはなかった。2025/05/13
biwacovic
4
その昔ペヨトル工房から出ていた『おかま』が、映画化を機に改題されて文庫化。情けなく、欲望丸出しで、すべてが切ない。「パナマ、世界の交差点では、人はただ歳をとるだけの肉塊だ。自分の身体をそこから動かすにはパンナムやKLMと取り引きしなくてはならない。さもないと、肉体はそこにいつまでも残って、トタン屋根の下、蒸し暑い熱の中で腐っていく」・・・若きバロウズが感情をそのままに曝け出す文章がたまらなく良い。2025/04/19
TOKKY
3
映画とても良かったのと記憶があるうちに復刊した原作を読んでみた。(バロウズは大学生のときに裸のランチを斜め読みしたくらいでしか無かった)つい映画と対比して読んでしまったが、リーはかなり打算的で法を犯してるとか抜きにしても良い人間とは言えないし、ユージーンはかなり子供っぽくて見た目以外のどこに魅力があるのか不明。そこが良くもあるんですが。リーのふとしたセリフ(『殺人はメキシコの国家的ノイローゼだな』等)がウィットに富んでいて、なんでこの話してんの?みたいなのは置いておいて楽しい。2025/05/23
brzbb
2
南米の国や人に対する蔑視、アラートンへの身勝手な恋情などほんとどうしようもねえジャンキーだなと思うけど、アラートンにちょっと冷たくされただけで全身を硬直させ涙を流す姿、心の触れあいに対する渇望には憐れみと切なさを感じる。2010年に出版された25周年記念版を底本とする改稿・改訳版。2025/05/08
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